こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『特別な事情で来日された外国人社員を雇用する際に企業が注意すべきこと③(家族滞在ビザ編2)』についてお話していきたいと思います。
前回は、家族滞在で来日された外国人社員を雇用する際に企業が取り組むべき事項や外国人本人から確認すべき資料についてお話してきました。今回は続きで、確認すべき資料や面談時に聞くべきこと等をお話ししていきたいと思います。
前回までで【外国人を雇用する際に必ず確認すべき資料】として、
① 在留カード
② 資格外活動許可書
③ 緊急連絡先申出書(任意書式)
があるというお話をしました。今回は③からお話していきたいと思います。
緊急連絡先申出書に関しては、会社で任意で準備する書類となります。代表的な記載例としては、
(1)家族滞在ビザで来日される外国人社員本人の電話番号(携帯番号が望ましい)
(2)連絡がつきやすいメールアドレス
(3)緊急時のその他連絡先(家族滞在ビザで来日している元となる外国人扶養者本人の連絡先)
以上3点を記載してもらう事が非常に重要です。
(1) に関しては、履歴書等で既に本人の電話番号を把握している場合は不要で構いませんが、雇用中に突然連絡が付かなくなる等のトラブルに備えられるよう、電話番号を把握しておくことが非常に重要です。
電話番号の収集の際に、「緊急連絡時以外で連絡する事は通常行わない事」を外国人社員本人に念押しして伝達する事はもちろん、可能であれば入社時の面談時に電話が繋がるかどうかを確認しておくことが非常に重要です。
また(2)についても、(1)の電話が繋がらない場合に企業がメールで連絡対応を行うためにも重要です。電話だけですと、通信トラブルや電源オフ等、外国人社員から「勤務先から連絡を受けていた事を知らなかった」と反論する言い訳が出来ます。
ただ、メールであれば、客観的に勤務先から外国人に対して連絡を行ったという証拠が文書として残るので、企業側は事前に把握する事が重要です。
また(3)に関しては、家族滞在ビザで来られる外国人を扶養している扶養者(例えば技術・人文知識・国際業務の在留資格で来日している外国人)本人の連絡先を知っておくことが非常に重要です。
なぜならば、家族滞在で来ている外国人に在留資格が付与されている根拠は、扶養者自身が日本で生活している事だからです。扶養者自身が日本でいつでも連絡が取れる状態でないと、家族滞在で来日される方の在留資格は意味をなしません。
その為、緊急連絡先申出書は任意書類となりますが、記載してもらう事項は先述した事項の程度で構いません。万が一の事を想定して取得しておくことをお勧めします。
「そこまではやりすぎなんじゃない?」と思われる本ニュースの企業担当の読者はいらっしゃるかと思いますが、そんなことはないと個人的には思います。なぜならば、日本へ来日する外国人は無条件に日本で暮らせるわけではなく、日本の法律に基づいた在留資格の条件の下、日本で生活できる訳だからです。
万が一資格外活動許可の範囲や在留資格申請の内容を逸脱して日本で生活した場合に、その外国人を処罰するには明らかに入管庁の監視だけではマンパワー的に難しいと個人的には思います。
その為、外国人を雇用する企業個々の多大な尽力が重要です。日本で安心・安全に生活できるために、一見細かいと思われる事でも企業は徹底して対応する事が非常に重要だと個人的には思います。
【雇用を行う上での注意点】
家族滞在で資格外活動許可を付与された方に関しては、原則週28時間以内の就労が認められます。また留学ビザと異なり、恒常的に週20時間以上の勤務が見込めれば、労災保険のみでなく、雇用保険の加入を行わなければなりません。
雇用関連の手続き漏れがないよう企業としては注意が必要です。また、外国人雇用状況の届出もハローワークに提出する事を忘れないようにしましょう。
また、当該外国人が他のアルバイトと掛け持ちで勤務している場合には、副業での雇用の際の注意点も企業としては意識する必要があります。本業と副業を合算して週28時間以内での勤務である事や、各勤務先に外国人本人が資格外活動許可を取得しているかどうかも合わせて確認をすることが必要です。
本日は『特別な事情で来日された外国人社員を雇用する際に企業が注意すべきこと③(家族滞在編2)』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話ししていきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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