
こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『2025年労働法関連法改正と企業の労務管理で対応すべき事②』についてお話していきたいと思います。
前回までは【2025年中に予定されている育児・介護休業法の改正】として以下があると説明させて頂きました。
(1)子の看護休暇の拡充
(2)所定外労働の制限
(3)育児のためのテレワーク導入
(4)短時間勤務の代替措置
(5)育児休業取得状況の公表義務
(6)介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
(7)介護離職防止のための雇用環境整備
(8)介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(9)介護のためのテレワーク導入
(10) 柔軟な働き方を実現するための措置の義務化
(11) 仕事と育児の両立に関する意向聴取・配慮の義務化
今回は続きの(3)から、お話していきたいと思います。
まず(3)ですが、3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
3歳未満の子に関しては、急な発熱等で保育園への急な送り迎えを労働者が余儀なくされる事も事案として発生します。
また、3歳未満の子を保育園に入園させようとしても、市町村によっては入園枠の制限により入園ができなかったり、または3歳未満に関しては保育料が有償である事から、保育園に預ける事をためらったりする家庭も出てきます。
そのような背景から、会社での就業が出来ない労働者の現状を打破すべく、自宅で保育等しながらでも比較的就業しやすい方を増やせるよう、企業にテレワークの導入を進めていきたいという目的があると個人的には考えます。
次に(4)ですが、3歳未満の子をもつ労働者が1日6時間までの就業となる短時間勤務制度を導入する事が現行の育児・介護休業法上求められています。
ただし、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務を講ずることが難しい労働者については、労使協定を締結して代替措置を導入する事で、短時間勤務制度の対象外とすることができます。
その代替措置は現状、
①育児休業の制度に準ずる措置
②フレックスタイムの制度
③始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度
➃3歳未満の子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッター費用の補助など)
の4点ですが、これにテレワークが追加されました。
新型コロナの影響で、在宅でも就業できる業種や職種が増えてきておりますが、現行法では、代替措置の対象としてテレワークが対象ではありませんでした。
その為、短時間勤務対象外のフルタイム勤務者が、さらに出社での勤務を余儀なくされる事で、育児と仕事の両立を図る事が難しいというデメリットがありました。通勤という一定の時間浪費を減らすことで、ワークライフバランスを進めていきたいという目的もあり、条件が緩和されたのだと個人的には考えます。
次に(5)ですが、この4月から従業員数300人超の企業に関しては、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」を自社のHP等で公表する義務が発生します。
この従業員数には、期間の定めなく雇用されている者が対象となり、社会保険加入の有無や所定労働時間の長短等は関係なく、フルタイム・パートのどちらの社員もカウントされます。
2023年度時点での男性の育児休業取得率は約30%となっており、政府としては2025年には50%を目指しています。
比較的人員や資金が潤沢に確保されている大規模中小企業や大企業等で男性の育児休業取得率を上げる事で、日本全体での男性の育児休業を促進し、社会的に男性が育児休業を取得しやすい風土を作る事を目的として導入されたのだと個人的には考えます。
また取得率の公表を義務付けられる事で、企業としては、円滑に男性社員が育児休業を取得できるよう、事前の情報周知や、意向確認、面談、引継ぎ等の対応を社内で行おうとする動きが出ます。
そうする事で、相乗効果として社内の男性社員も女性社員もさらに育児休業を取得しやすい風土を作る事を促進する為に、公表義務の緩和が行われているのだと個人的には考えます。
本日は『2025年労働法関連法改正と企業の労務管理で対応すべき事②』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話ししていきたいと思います。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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