【第268回】『労務管理Q&A~「ポテンシャル採用」と「即戦力採用」で中小企業に向いているのは?③~』
- 田村陽太

- 7月18日
- 読了時間: 4分
更新日:7月23日

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~「ポテンシャル採用」と「即戦力採用」で中小企業に向いているのは?③~』についてお話ししたいと思います。
前回までで、「ポテンシャル採用」と「即戦力採用」それぞれのメリット・デメリットについてお話しし、その上で中小企業ではポテンシャル採用の方が向いているというお話をしました。
そして、中小企業がポテンシャル採用を重視すべきだと思う理由として、以下の3つを挙げました。
①OJT中心の教育環境だから、伸びやすい
②人間関係が大事なため、なじみやすさが重要
③経営層との距離が近いからこそ、摩擦が起こりやすい
今回は、そのうち②について詳しくお話ししたいと思います。
中小企業では、人間関係の良さが生産性に直結する
中小企業では従業員数が限られているため、一人ひとりに課される業務の内容や量、責任の大きさは自然と大きくなります。
役割や業務量が多い中で、それぞれの従業員が
・自分にしかできない仕事は何か
・自分がやるべきでない仕事は何か
を適切に見極め、割り切って仕事を進めていく力が必要です。
なぜ人間関係が重要なのか
ただ、その中で「自分の仕事を円滑に進めたい」「自分がやるべきではない仕事は誰かにお願いしたい」と思ったとき、必ず関わってくるのが同僚や先輩、後輩との人間関係です。
この人間関係が良好に保たれないと、中小企業の限られた人的リソースはすぐに崩れ、組織全体のパワーが急激に落ちてしまうと私は思っています。
どんな人に仕事を頼みたいか、頼まれたいか
少し想像してみてください。あなたはどんな人に仕事を頼みたいですか?
逆に、自分がお願いされる立場なら、どんな人から頼まれたら気持ちよく引き受けようと思いますか?
多くの方が思うのは、その仕事をお願いしてくる相手に配慮や尊敬が感じられるかどうかではないでしょうか。
配慮や尊敬が大事な理由
たとえば、
・「これやっておいて当然でしょ」と当たり前のように依頼してくる人
・仕事をお願いする際に、やたらと自分の忙しさをアピールする人
・相手がどんな状況かを気にせず、自分の都合だけを一方的に押し付ける人
そんな人にお願いされても、誰も気持ちよく引き受けたいとは思いませんよね。
仕事をする上での配慮や尊敬の気持ちは、性格や価値観といった先天的な部分もありますが、実はその会社の文化や日々の教育で育つ後天的な能力でもあります。
ポテンシャル採用だからこそ、育てやすい
では、会社として「配慮や尊敬を持った人材を育てたい」と考えたとき、どのような人が育てやすいでしょうか。
すでにどこかの企業で経験を積み、自分なりのやり方やプライドを確立している即戦力人材よりも、未経験で若い方の方が、
・「仕事とはこうあるべきだ」という固定観念がまだ少なく、
・その会社が教えたい理念や価値観を素直に吸収しやすい
という点で適しています。
人間関係はドミノ式に崩れるリスクがある
中小企業は人員が限られている分、一人が人間関係で腐ってしまうと、その影響がドミノ式に全体へ波及してしまいます。
だからこそ、
「自分が普段から人に頼まれて仕事をこなしているから、今度は自分がお願いする番だ」
「持ちつ持たれつの関係だから、お互い様だ」
という配慮や尊敬を自然に持てる社員を育てることがとても重要です。
こういった育成のしやすさという意味でも、私はやはり中小企業はポテンシャル採用を重視すべきだと考えています。
本日は『労務管理Q&A~「ポテンシャル採用」と「即戦力採用」で中小企業に向いているのは?③~』についてお話ししてきました。次回も続編をお話ししていきたいと思います。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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