【第273回】『AIの発達によって人事労務や社労士の未来はどう変わる?③』
- 田村陽太

- 8月22日
- 読了時間: 4分
更新日:8月29日

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『AIの発達によって人事労務や社労士の未来はどう変わる?③』というテーマでお話ししたいと思います。
前回までで、AIの発達により人事部の業務が効率化されるポイントとして、以下の3点についてお伝えしました。
【AIの発達による人事部業務の効率化】
① 給与計算や就業規則作成など、複雑な業務の簡素化
② メールや通知文などの文書作成業務の効率化
③ 従業員からの人事労務に関する相談の心理的ハードルの低下
今回は、③「従業員からの人事労務に関する相談の心理的ハードルの低下」について掘り下げていきます。
従業員からの相談は意外と多く、内容も多岐にわたる
人事業務の中でも、従業員からの相談対応は非常に重要な業務のひとつです。
例えば、毎月の給与明細の内容や育児休業、介護休業、子供を持つ従業員からの短時間勤務や残業免除に関する相談が日常的に寄せられます。
さらに、センシティブな内容としては、部署内のハラスメントや勤怠不良、能力低下など、生産性に関わる相談も多くあります。
このような相談は、従業員にとって心理的なハードルが高く、社内の人事部に直接話す前に、ネットで調べたり、公的機関に問い合わせたりして情報を集めた上で相談に来るケースも少なくありません。
情報不足より「情報の確かさ」への不安が障壁に
従業員が相談をためらう理由の一つに、「自分の持っている情報が正しいのかどうかわからない」という不安があります。
たとえインターネットで容易に情報収集ができる時代になったとしても、その情報の正確性を判断するのは難しく、間違った前提で人事に相談してしまうことへの不安が、従業員の人事部等への相談のハードルを上げているのです。
AIの発達が、相談の「きっかけ」を作る
AIの進化によって、個人でも比較的正確な情報にアクセスしやすくなりました。
その結果、「自分の状況に似ているケースを見つけた」「ある程度の前提知識を持てた」といった理由から、以前よりも気軽に人事部へ相談できるようになると考えられます。
これまでは、管理職を通じた面談や従業員からの突発的な相談を通してしか、従業員の悩みや状況を把握できませんでした。
しかし、今後は、従業員自身によるラフな相談が増えてくることで、人事部が従業員の状態や関心を把握しやすくなり、労務管理に役立てられるようになるでしょう。
人事部は「相談対応力」が問われる時代へ
相談の機会が増えることは、組織にとってプラスです。ただしその分、人事部側にも備えが必要です。
例えば、相談窓口を誰が担うのか、対応時にどのような姿勢で話を聞くか、どのように言葉を選ぶか等、こうしたスキルや体制の整備が求められます。
これまでは、相談が発生してから「後追い」で対応していたため、人事部で対応できる選択肢が限られたり、人事部等への過度な負担が集中したりすることがありました。
しかし、AIによる情報提供や相談の促進により、早期に相談を受けられる体制が整えば、対応の選択肢も広がり、結果として人事トラブルや労務トラブルの未然防止に繋がると私は考えています。
本日は『AIの発達によって人事業務や社労士の未来はどう変わる?③~』についてお話しました。次回も続編をお話しいたします。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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