【第277回】『AIの発達によって人事労務や社労士の未来はどう変わる?⑦』
- 田村陽太

- 9月19日
- 読了時間: 4分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『AIの発達によって人事労務や社労士の未来はどう変わる?⑦』というテーマでお話ししたいと思います。
前回までに、AIによって人事業務が効率化されていく流れと、それに伴い社会保険労務士が今後担うべき主な役割についてお話ししてきました。
今回はこれまでの内容を総括し、「これからの人事部のあり方」や「AIでは代替できない人間的なサポートの重要性」についてまとめていきたいと思います。
AIで業務は簡素化する。でも「感情」はどうする?
AIの進化により、人事部の業務が効率化されていくのは言うまでもありません。日常のルーティン業務や情報収集、各種手続きの自動化は大きく進み、「平常時の業務運営」はかなりスムーズになるでしょう。
一方で、労務トラブルや昇給・昇格の場面など、いわゆる“非日常”のタイミングでは、従業員の感情の機微をどう受け止め、フォローしていくかが非常に重要な時代になってくると私は感じています。
人事の役割は“何も起こらない”状態を維持すること
本来、人事部の役割とは、会社の運営が平穏に保たれるように支えることです。問題が起きないこと、組織が安定していることが何よりの成果とも言えます。しかし、現実にはさまざまな「出来事」が起こります。
昇給・昇格などの喜ばしい場面
部署異動や配置転換、降格などのショックな出来事
ハラスメントや未払い残業などのトラブル
こういった場面で、従業員はそれぞれ違う感情を持ちます。ある人は喜び、ある人は不満を持ち、ある人は落胆したり、嫉妬したり。人の数だけ、反応は違います。
感情の“予測”はできても、“予言”はできない
私たち人事担当者は、ある程度の想定はできます。「この異動に不満を持つ人がいるかもしれないな」「昇格しなかった人のモチベーションが下がるかも」等々です。
でも、それはあくまで予測であり、実際の“気持ち”を完全に読むことはできません。
だからこそ、実際に感情が動いた時にどう寄り添えるか。「その気持ち、分かりますよ」と言える存在が社内にいるかどうかが、今後の人事部にとって大きな価値になると思います。
AIは情報を教えてくれる。でも行動するのは“人間”
AIの技術によって、「どんな情報が正しいのか」「どんな制度が使えるのか」はすぐに分かるようになりました。
しかし、その情報をもとに“実際に行動する”のは、あくまで人間です。そして、その行動には、
勇気が必要だったり
不安や恐れがあったり
人目を気にしたり
…といった“感情”が必ず絡んできます。この「心の機微」に寄り添える人こそ、これからの人事部に求められる存在です。
環境が変われば、感情も動く
AI技術の進化だけでなく、事業内容や市場もどんどん変わっていきます。「これまで通りの仕事を、これまで通りに続ける」ことが難しくなる中で、従業員の感情も常に揺れ動くものです。
そんなときに、「自分だけが悩んでいるわけじゃない」「誰かが伴走してくれている」と思えることが、心理的安全性や信頼関係の基盤となります。
人事は“伴走者”であるべき
これからの人事部には、従業員や経営層と一緒に悩み、一緒に歩く“伴走者”としての姿勢が求められると思います。
社労士としても、各企業の人事部の皆さまと同じ目線で並走し、時には後ろから背中を押し、時には前で道を照らす存在でありたいと考えています。
本日は『AIの発達によって人事業務や社労士の未来はどう変わる?⑦』についてお話しました。
貴社で人事部を構築したい、人事担当者をどのように育てるべきか等人事労務管理についてお悩みでしたら、お気軽にサンキャリアまでご相談ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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