【第278回】『有給取得を促すために本当に効果的な制度とは?』
- 田村陽太
- 9月26日
- 読了時間: 4分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『有給取得を促すために本当に効果的な制度とは?』というテーマでお話ししたいと思います。
有給休暇は「権利」だけど、なぜ使われない?
会社で雇用されて働く従業員さんにとっての一つの大きな権利が、労働基準法で定められている「年次有給休暇」です。
これは、正社員・パートタイマーに関係なく、一定の出勤率(8割以上)を満たしていれば、週の所定労働日数や勤続年数に応じて付与されるものです。
働き方が多様化し、忙しい現代社会では、「しっかり休むこと」が精神的・身体的なリフレッシュにつながり、次の仕事への集中力や生産性を高めるためにも重要です。
「有給5日取得義務」で終わらせない会社づくり
今では「年間10日以上有給が付与される従業員には、年5日以上の有給休暇取得が義務化」されています。
このため、自主的に取得する従業員もいれば、会社のカレンダーに合わせて計画的に取得させる企業も増えてきました。
ただし、この義務を“最低限のライン”として捉える企業もあれば、「せっかくの権利なのだからどんどん使ってほしい」と積極的に促す企業もあります。
その差は一体、どこから生まれるのでしょうか?
ポイントは「有給取得への信頼感」
私が考えるに、有給取得が促進されている会社には、“有給を取ることへの信頼感”が根付いているように思います。
従業員側にとっての信頼:
「ちゃんと準備していれば、気兼ねなく休める」
会社側にとっての信頼:
「この人なら、周囲と連携して責任を果たした上で休んでくれる」
このような相互信頼があると、有給は自然と活用される文化になるのです。
有給取得前の“ひと工夫”がカギになる
有給休暇を取得する際には、以下のような準備や意識ができているかが大切です。
・自分が抜けることで支障が出そうなタスクへの事前の準備・共有
・代理で対応する同僚やチームへの引き継ぎ
・上司への事前相談と承認フローの明確化
これらをルールとして明文化していたり、自然と行われている会社は、有給取得率も高い傾向があります。
「前もって言える」職場が有給を後押しする
これは有給休暇に限らず、産休・育休・出張・急な家庭の事情など、何らかの申請や共有が必要な場面でも同じことが言えます。
「事前に伝えてくれてありがとう」という雰囲気があると、従業員側も安心して申し出ることができます。
自己開示できる文化が、有給の心理的ハードルを下げる
有給は「休みたい」という人間の基本的な欲求に基づく、ごく自然な“権利の行使”です。
普段から、
「将来こんなことをやってみたい」
「実はこんな趣味がある」
といった仕事以外の一面も自然と共有できる職場は、有給も抵抗なく取得できる土壌があります。
「この人なら、安心して休んでいい」と思える信頼
たとえ有給を取っても、「〇〇さんならしっかり準備してくれているし、戻ってからも頑張ってくれるだろう」と周囲から思われている従業員さんは、気持ちよく休めます。
そんな相互信頼と風通しの良さこそが、有給取得促進において最も効果的な“制度”なのではないでしょうか。
本日は『有給取得を促すために本当に効果的な制度とは?』についてお話しました。
本ニュースをご覧になり、その他人事労務管理に関するご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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