【第289回】『健全かつ長く働ける組織を作る為に必要な視点とは?』
- 田村陽太

- 17 時間前
- 読了時間: 5分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『健全かつ長く働ける組織を作る為に必要な視点とは?』というテーマでお話ししたいと思います。
社労士事務所と株式会社の両方を経営し、様々なお客様の人事労務管理のお仕事をしていると、「どんな人と一緒に働くか」が組織の安定に直結する事を日々痛感します。
組織運営を行っていく上で、スタッフのスキルや経験以上に大切なのは、“相手とのコミュニケーションの癖を早い段階で見極める事”だと私は思います。
仕事は人と人が関わるものなので、相性の良し悪しは必ずあります。
ですが、スタッフ個人個人が円滑に組織が運営できるように、最低限必要な素質を持っていれば、比較的組織の中でのトラブルは事前に防ぎやすくなります。
今回は、その中でも、組織での関係性が不安定になりやすい人の特徴や傾向を、これまで日々実務を行ってきた視点でまとめてみました。
① ミスを指摘されると、話題を“相手のミス”にすり替えてしまう人
誰でもミスはあります。しかし、問題は ミスそのものではなく、“向き合い方” だと私は思います。
組織が不安定になりやすいのは、
〇自分のミスの指摘に向き合わない
〇「あなたも同じミスしてるじゃないか」と話をすり替える
〇攻撃されないように、相手の弱点を探し返す
こういった、“責任の矢印を自分に向けられない”コミュニケーションをする方が組織の中にいる時です。
これは悪意というより、自己防衛の癖であることが多いのですが、結果として、従業員同士、組織内での対話が前に進まなくなってしまいます。
健全な関係をつくる為には、
〇自分のミスをしっかりと認める勇気
〇相手からの指摘を事実として受け取る姿勢
〇“誰が悪いか”ではなくこれから“どう良くしていくか”を考えられる思考
これらが欠かせないと私は思います。
組織を安定させる為には、このようなコミュニケーションを行う方との距離の取り方を意識し、周りの従業員に一定程度理解してもらう事が重要です。
② メールやメッセージだけでコミュニケーションを完結させようとする人
仕事の効率化の為にメールを使うのはもちろん良い事です。
ただし、相互の対話が必要な場面で、
〇面談を避ける
〇電話を避ける
〇とにかくメール等の文章だけで話を終わらせようとする
という傾向が強い場合、注意が必要です。
背景にあるのは多くの場合、「相手から直接フィードバックを受けるのが怖い」という心理があります。
文章だけのやり取りは、ある意味で“安全地帯”です。
しかし、仕事の多くは、細かい内容のニュアンスを伝えたり、自分の表情やどう真剣に考えているかの空気等を相手としっかりと共有出来る前提がある事で、成立します。
特に管理職や経営層でこの傾向が強いと、組織内に誤解が増え、問題が放置されやすくなります。
メールやメッセージ文化はとても便利ですが、コミュニケーションの全てを文章で済ませようとするのは、円滑な組織運営を行う事において大きなリスクがあると私は思います。
③ 指摘されると“自分の人間性を否定された”と感じてしまう人
日本では特に多いと感じるのが、「仕事の指摘=人格否定」と受け取ってしまうケースです。
注意する側としては業務上必要な指導として冷静に伝えているつもりでも、
〇必要以上に落ち込む
〇過剰に反応する
〇被害者意識を持つ
〇感情的になってしまう
という反応が返ってくる事があったりするかと思います。
ただ、仕事の場では、
“行動への指摘” と “人間性” を分けて受け取る力
がとても重要です。
組織では、時に改善のための指摘が必要です。その度に感情が揺れ動いてしまう人は、
どうしても運営する組織が不安定になりやすくなります。
経営の観点からいうと、“業務上必要な注意やフィードバックを個人への攻撃ととらえず真摯に向き合える人”は、とても組織適応力が高いと言えます。
【まとめ】“相手との健全な距離感”を見極める事が組織を守る
今回お伝えした3つの特徴は、どれもその人が悪いという話ではありません。それは個人の思考や価値観の癖や特性が大きく影響しているからです。
組織運営で大切な事は、
「組織として様々なと従業員との関わり方をどう設計するか」
「各従業員にどこまでの責任を任せるか」
「各従業員とどの距離で付き合えば双方が幸せか」
こうした視点で、組織の中で円滑にコミュニケーションが進む方向を早めに見極める事だと私は思います。
私自身、多くの組織の人事労務管理の現場を見てきましたが、トラブルの多くは従業員の能力ではなく、人同士のコミュニケーションの傾向から生まれると実感しています。
組織を健全に保つためには、相手の思考の癖を批判するのではなく、それらを理解し、距離感を調整し、各従業員を適材適所で活かすという視点が欠かせません。
サンキャリアとしても、私たちと日々関わって頂けるお客様が“安心して働ける環境づくり”に向けて、これらの視点をこれからも大切にしていきたいと思います。
本日は『健全かつ長く働ける組織を作る為に必要な視点とは?』についてお話しました。
本ニュースをご覧になり、その他人事労務管理に関するご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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