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  • 執筆者の写真田村陽太

【第112回】ウィズコロナでの企業の海外進出は海外駐在員or現地ローカル社員どっちに任せる?(まとめ編)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「ウィズコロナでの企業の海外進出は海外駐在員or現地ローカル社員どっちに任せる?(まとめ編)」についてお話していきたいと思います。



前回までのお話で、海外駐在員制度のメリットや現在直面している課題について、そして現地ローカル社員に権限委譲した際のメリットや直面する課題についてもお話ししました。



本日はまとめという事で、日本企業が海外事業を攻略していくために、どのような組織体制にすべきかのお話をしていきたいと思いますが、私個人的には「ハイブリッド制」が良いかと考えています。



ハイブリッド制とはどのような意味かと言いますと、簡潔に言うと「3年や5年ごとに現地法人の代表を、現地ローカル社員と日本本社の駐在員とで入れ替えて運営していく」という事です。



といいますのも、海外駐在員制度を導入していくと、日本企業としてのブランドや品質、製品のコントロールはしっかりと統制できますが、スムーズな営業活動や良い人材を迅速に確保していく採用活動等がうまくいかないなど一種の「機動性」に欠けることになります。



また海外ローカル社員のみで運営していくと、その国の文化や商習慣等を知っている現地社員だからこその海外事業での売上拡大や工場での円滑な生産管理に寄与しますが、一方でローカル社員に任せすぎてしまうと、日本企業だからこその良さや強みが失われていき、他の外資系企業と比較しての経営力や日本企業としてのブランドイメージがうまく顧客に訴求できない可能性もあります。



その為それを払拭するために、海外現地法人を設立した際には、まずは日本本社の海外駐在員が数年間代表を務め、現地顧客の商習慣や市場についてよく知り、また一緒に働くローカル社員のおおよその価値観や職業観について理解すると共に、事業運営していくのがファーストステップとして大事です。



そして、その間にも海外駐在員は海外で知りえた情報等を日本本社の経営層や海外営業部社員にしっかりと共有し、日本本社として意思決定する際に知識不足・理解不足にならないよう「日本本社を」しっかりと教育する仕組みを作ることが大事です。



少し脱線しますが、海外市場で事業運営を行っているどの日本企業にも起こりがちなことですが、一度も海外出張に行ったこともない、海外駐在も経験したことがない、海外経験した事があってもローカル社員とプライベートのコミュニケーションまで踏み込まずに日本に帰ってきたという人材が、日本本社の経営を任されているという現状もあり、海外事業を攻略するための戦略や思考の道筋が日本本社としてしっかりと出来上がっていないことが良く起こっていると感じます。(海外事業に関しては、単なる思い込みで特定の経営層が意思決定してしまっていることが本当によくあります。)



海外事業は市場が全世界であるために、いろいろな政治情勢や経済事情によって刻々と市場の「パイ」自体が大きくなったり小さくなったり、非常に変わりやすいです。だからこそ、海外事業を担当する駐在員だけでなく日本本社で働く人も海外事業の現状についてしっかりと理解することが重要です。



上記のような形で数年間海外駐在員制度を運営した後、今度は現地法人の代表をローカル社員に変更し、数年間現地に任せて海外事業を行っていく流れが重要です。出来ることであれば、海外駐在員の下で数年間一緒に働いていた社員に現地法人の代表となってもらう形で期間定め付きの権限を委譲することが良いと思います。



日本本社から「のれん分け」という形で権限移譲されて現地ローカル社員で運営する数年間は、日本本社の事業を運営していく上でしっかりと理解しておくべき事、必ずやってほしいことは共有しつつも(定期的なミーティング、進捗状況報告)、営業地域や事業戦略をどうするか等の実務については完全に任せるスタイルでやっていくのが個人的に良いかと思います。(守破離を意識して、海外駐在員制度期間中はローカル社員に教育していきましょう。)



現地法人登記の変更やローカル社員との契約書締結等、ハイブリッド制にすることで行わなければならない業務は増えますが、数年間おきに海外事業の責任の所在を入れ替える事で、日本本社、海外ローカル社員それぞれが頑張るべき指標が明確になり、「自分たちが担当する数年間で海外事業をより良く運営しよう!」という風土が高まることで、日本本社、海外ローカル社員双方が良いプレッシャーで牽制し合う仕組みとすることができます。



本日は「コロナ禍において企業の海外進出は海外駐在員配置or現地ローカル社員に任せる?(まとめ編)」についてお話しました。以上5回の連載をもって、適切な海外事業運営の組織論について語らせていただきました。



今までは、よその日本企業のやり方や習わしを見て、海外駐在員制度を使って海外事業を行ってきた日本企業も、このコロナ禍で良い意味で海外事業のあり方を「見直し」出来る機会となりました。



弊所でも海外事業戦略構築等の相談をいつでも受け付けておりますので、弊所にお気軽にお問い合わせください。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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