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  • 執筆者の写真田村陽太

【第115回】外国人社員が働きやすい柔軟な勤務制度とは?(前編)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「外国人社員が働きやすい柔軟な勤務制度とは?(前編)」についてお話していきたいと思います。



外国人社員が日本企業で働く機会がいろいろな職場で増えてきていますが、彼ら彼女らにも日本の会社で働くことで日々悩むことや考えている事、「こういう職場になってくれたらうれしいのになあ。。。」と感じている事を沢山弊所でもよく聞きます。



海外と日本では、美徳とする考え方や当たり前と考えている価値観が違う事により、日本企業の経営層や社員にとっては当たり前と考えている事が、外国人社員には当たり前ではない事が往々にしてあります。



本日はそのような日本企業で働く日本の方が普段当然であると思っている働き方について、良い意味でメスを入れられるような内容にしていきたいと思います。



文量も限られているので、今回は外国人社員が日本企業に良く求めるポイントを4つに絞ってお話していきたいと思います。



【外国人社員が日本企業に求めるポイント 4選】



① 定時には仕事を完全に終えたい

② 有給休暇は完全消化したい

③ 多少の敬語のミスには寛容になってほしい

④ コミュニケーション方法の違いを理解してほしい



となります。



① 定時には仕事を完全に終えたい



つまり雇用契約やシフトであらかじめ決まっている就業時間を超えて残業して働きたくないという事です。「残業」とは本来雇用契約で締結している労働条件とは別に新たに事業主と労働者で合意して初めて行えるものなので、本来は会社として残業を従業員に命じるためには、(1)労働条件通知書や就業規則で残業させる可能性がある事を従業員に明示し、(2)時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)を従業員代表と締結しなければ出来ません。



このような労働基準法や労働契約法等の労働法規が日本にもありますが、日本ではまだまだこれらの労働法を遵守して働くという「労働契約」の考え方はそこまで日本人に強く浸透してはいません。



ただ、海外では契約文化が根強いので、本来の契約と別の契約で働く場合には、その根拠や内容を必ず事業主や人事担当者に確認しますし、その残業の代わりとなる割増賃金が何パーセントになるのかも事前に明らかでないと、そもそも残業をしないという人も多いです。



国によっては残業することは原則禁止で、残業させた場合は日本での割増賃金の率よりも多い割増率で残業代を支給しなければならない所もあり、「残業する事は当たり前」ではない国も多いです。



こういう背景もあって残業をしたくない外国人社員も多いので、必ず雇用契約締結時には「残業させる可能性がある」事をしっかりと伝え、それでも極力残業をさせないように会社も誠意を尽くすし、外国人社員も効率よく働けるよう就業時間中に業務をしっかりと覚えてもらうよう面談時にしっかりとお話しすることをお勧めします。



② 年次有給休暇は完全消化したい


これも①に繋がりますが、労働契約に認められている休日・休暇等の労働者の権利についてはしっかりと行使したいと考えている外国人社員が多いです。働くだけでなく、家族と過ごす時間や自身のキャリアアップのための学習時間等のプライベートを充実させたいと考えている外国人社員がとても多いです。



日本でも2019年から、1年で10日以上有給休暇を取得した方は5日以上有給休暇を取得する事が義務化されていますが、海外ではそれでは足りません。取得した分はその年で完全消化する事が当たり前です。



海外によっては有給休暇が消化できなかった場合は、その休暇の日数分について、膨大な割増率を上乗せした手当を支給しなければならない所もあります。また余談ですが、有給休暇等の休暇以外に、国民の祝日等の「休日」に勤務させた企業は通常の割増率よりも高い率で残業代を支給しなければならない国もあります。



これらの事から、外国人社員と雇用契約を締結する際には「休日・休暇」の部分については法で定められている事、会社で上回って整備している制度等には細かく説明してあげることが大事です。



また、これらの休日・休暇について、使える機会があるのであれば積極的に利用できることをお伝えし、その代わりに日々の業務の習得度を高めるよう就業時間は精一杯働く事や、他社員への業務の引継ぎもしっかり行う等、休日・休暇を取得出来るための日々の効率的な働き方が出来るようにしっかりと教育する事が重要です。



本日は「外国人社員が働きやすい柔軟な勤務制度とは?(前編)」についてお話しました。次回は後編の内容についてお話していきたいと思います。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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