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  • 執筆者の写真田村陽太

【第202回】『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~②』




こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~②』についてお話していきたいと思います。



前回は【海外現地社員をリモート勤務で採用する上で注意しなければならない事】として、



➀現地社員の各種社会保険の加入手続きについて

②現地社員のリモート勤務時の就業ルールについて

③日本在住社員との待遇、福利厚生、配置転換等の人事異動の差について



があるというお話をしました。今回は②からお話していきたいと思います。



【②現地社員のリモート勤務時の就業ルールについて】



海外在住のリモート社員を日本企業が雇用する際に注意しなければならない点は大きく以下3点が挙げられます。



・最低賃金を日本と現地滞在国どちらの適用とするか

・就業時間と割増賃金のルールをどのようにするか

・その他労基法等の労働法を加味して就業ルールをどのようにするか



以上が代表的かと思います。前回お話しました通り、原則日本本社の所属で指揮命令下にあり、労働の対価として給与が支払われている場合には日本の最低賃金法や労働基準法のルールが適用されます。



例えばですが、原則は海外滞在社員のリモート勤務時の最低賃金に関しては日本本社が在籍する都道府県の最低賃金基準に合わせて支給する必要があります。また労働基準法上の割増賃金のルールも適用されるので、例えば海外滞在国の現地時間深夜22時~朝5時までの勤務となる場合は、通常の時給に上増しした割増賃金を支払う必要が出てきます。



ただ、ここで考えなければいけない事としては「対象社員の滞在国によっては、会社側が従業員を指揮命令下で管理させにくい」という点です。



たとえば、日本から近い東南アジアやインド等のアジア地域の社員を雇用する場合は日本との時差がそこまで発生しない為、日本本社で活動しているのとタイムラグなく指揮命令下におき勤務させる事が出来るかもしれませんが、アメリカやカナダ等の日本との時差が大きい国に関しては、日本本社での勤務が終了している間に海外現地社員が活動する事となります。



よって、多くのパターンとしては、日本との時差が大きい国に滞在する社員への基本的な業務の行わせ方としては、日本本社での勤務が終わるまでに海外現地社員の業務進捗のフィードバックを行って、その後次の業務指示を行い、次の日の出社時に前日指示した現地社員の業務進捗を確認するというフローになります。



その為、契約上「雇用契約」だったとしても、日本との時差が大きい国に住む社員の勤務形態は実体的に「業務委託」の形が強くなる傾向にあります。



また、日本本社での指揮命令下におかれ、日本の最低賃金法や労働基準法が適用されることとなると、海外滞在国の各種最低賃金等の福利厚生と比較して劣る待遇となる可能性も出てきます。



アメリカやカナダ、ヨーロッパ等の欧米各国の賃金の方が、時給換算で計算すると日本企業の相場よりも高くなるのがほとんどのケースが多いです。



その為、企業も従業員も法律通りの雇用契約や勤務形態を達成できている一方、企業側は指揮命令下に従業員をおいて勤務させにくい、従業員側は想定していた賃金をもらえない等、企業側も従業員側双方とも想定している働き方が達成できない可能性も出てきます。



その為海外に住む社員をリモート勤務させる場合は、



・その従業員の滞在国はどこか

・業務内容や雇用管理方法をどうするか

・上記2点検討した結果、雇用契約ではなく業務委託契約とする事も双方合意できるか



等、現地社員と詳細の勤務内容を話し合いながら、雇用契約の内容を決定する事が重要かと思います。



本日は『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~②』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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