【第335回】『採用と定着、企業はどちらにお金をかけるべきか?』


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『採用と定着、企業はどちらにお金をかけるべきか?』というテーマでお話ししたいと思います。
会社で従業員を雇用する事は、事業を成長させていく上で非常に重要な経営戦略です。
ただ、人を採用すればそれで終わりというわけではありません。
会社の方針や職場の雰囲気に馴染んでもらい、周囲とチームワークを発揮しながら働いてもらい、研修や日々の業務を通じて成長し、会社に貢献してもらう事が重要です。
一方で、どれだけ時間とお金をかけて育成しても、従業員が退職してしまう事はあります。
転職によって新しい仕事に挑戦したり、より良い待遇や働き方を求めたりする事も、従業員本人の自由です。
では、会社としては、求人や人材募集といった「採用」にお金をかけるべきなのでしょうか。
それとも、研修や福利厚生、エンゲージメント向上といった「定着」にお金をかけるべきなのでしょうか。
私個人としては、まずは採用にこそ力を入れ、お金と時間を投じるべきだと考えています。
今回は、その理由を3つの視点からお話しします。
① 自社の魅力を正しく伝え、価値観の合う人を採用する
まず大切なのは、会社の魅力や実態を正しく知ってもらう事です。
人手不足が続く中、求職者は複数の会社を比較しながら、自分に合った職場を選んでいます。
給与や福利厚生などの条件だけで選ばれた場合、より良い条件の会社が見つかれば、転職を考える事もあるでしょう。
だからこそ、
「この会社の事業に関わりたい」
「この会社だからこそ、自分の力を発揮したい」
と思ってもらう事が重要です。
その為には、単に求人広告を出したり、人材紹介会社に依頼したりするだけでは不十分だと思います。
自社がどのような事業を行っているのか
どんな価値観で仕事をしているのか
どのような組織体制で、社員に何を期待しているのか
こうした情報を、ホームページやSNS、採用媒体などで丁寧に発信する必要があります。
さらに、興味を持ってくれた方には、会社見学やカジュアル面談、インターンシップなど、実際の職場を知ってもらう機会を作る事も有効です。
大切なのは、応募者をたくさん集める事だけではありません。
自社の方向性と求職者の関心が合っている人に、応募してもらう事です。
私は、このような採用前の情報発信や相互理解にこそ、会社は積極的に投資すべきだと考えています。
② 入社前だからこそ、お互いの方向性を率直に話し合える
次に、採用段階は、会社と求職者がお互いの考えを率直に伝えやすい時期だという事です。
入社後は、配属先が決まり、日々の業務が始まります。
そうなると、本人が本来どのようなキャリアを歩みたいのか、何を大切にして働きたいのかを、落ち着いて話す時間が取りにくくなる事があります。
また、会社としても、目の前の業務を優先するあまり、本人の希望より会社の都合を重視してしまうかもしれません。
だからこそ、採用面接や入社前の面談では、
「将来どのような仕事をしたいですか」
「どんな時に仕事のやりがいを感じますか」
「会社にどのような事を期待していますか」
といった事を、丁寧に聞いておく必要があります。
もちろん、会社側も良い面だけを伝えてはいけません。
今の会社が抱えている課題や、まだ整っていない制度、入社後に求める役割なども正直に説明するべきです。
会社が一方的に人材を選ぶのではなく、求職者も会社を選ぶ。
この対等な関係の中で、お互いの価値観をすり合わせる事が重要です。
採用段階で十分な対話ができていれば、入社後も目指す方向性を共有しやすくなります。
結果的に、育成や定着にも良い影響を与えるのではないでしょうか。
③ 在籍期間の長さよりも、貢献できる状態を作る
3つ目は、従業員が在籍している期間に、どれだけ会社に貢献できるかという視点です。
会社としては、一度採用した社員に長く働いてもらいたいと思うでしょう。
ただ、これからは転職によって待遇やキャリアを変えていく選択肢も、より身近なものになっていくと考えています。
その中で、すべての社員に長期定着を期待するだけでは、会社の人材戦略は難しくなると思います。
大切なのは、在籍期間中に本人の得意な能力やスキルを活かし、具体的な成果に繋げていく事です。
例えば、AIの活用によって定型的な作業を効率化できる場面が増えれば、人間には課題の発見やプロジェクトの推進、関係者との調整などの力がより求められるでしょう。
そうした仕事に対応する為には、採用段階から本人のスキルや考え方を理解しておく必要があります。
入社後も、1年後や3年後の成長だけを目標にするのではなく、週単位や月単位で、
今どのような成果を出したいのか
その為に会社は何を支援できるのか
を互いにすり合わせていく事が重要です。
もちろん、教育や研修が不要という事ではありません。
むしろ、本人の能力を早い段階から活かす為に、必要な教育や支援を行っていくべきだと思います。
まとめ 採用への投資が入社後の活躍に繋がる
採用と定着は、どちらも会社にとって重要な取り組みです。
ただ、私は、入社後にミスマッチを解消しようとするよりも、採用段階で自社の魅力や課題を伝え、お互いの方向性をすり合わせる事に力を入れるべきだと考えています。
その為には、
自社の魅力や実態を正しく発信する事
入社前にお互いの価値観やキャリアを確認する事
在籍期間中に能力を発揮できる人材を採用する事
この3つが重要です。
もちろん、離職の原因が労働環境や待遇にあるのであれば、まずはその改善が必要です。
採用に投資する事は、定着を軽視する事ではありません。
むしろ、採用段階で丁寧に向き合う事が、入社後の活躍や定着の土台になると思っています。
サンキャリアとしても、単に人を採用する事だけでなく、会社と従業員が互いの強みを活かし、働いている期間に十分な価値を生み出せる採用・育成の仕組みづくりを支援していきたいと考えています。
本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
社会保険労務士事務所Sun&Careerホームページはこちらです。
インターネットラジオ・ポッドキャスト番組「企業と従業員の働き方を考える 『社労士ラジオ サニーデーフライデー』」のリンクはこちらです。
社労士労務顧問、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター、ポッドキャスト番組制作等のご依頼はお問い合わせフォームまでご連絡ください。




コメント