【第336回】『出戻り採用(アルムナイ制度)を会社で前向きに考える為に重要な事』


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『出戻り採用(アルムナイ制度)を会社で前向きに考える為に重要な事』というテーマでお話ししたいと思います。
最近では、一度会社を退職した社員を再び採用する「アルムナイ採用」に取り組む企業が増えています。
アルムナイとは、もともと卒業生や同窓生を意味する言葉で、企業では退職した元社員を指します。
その背景には、人手不足によって新しい人材を採用する事が難しくなっている事があります。
会社としては、時間と費用をかけて育成した社員が退職すると、それまで培ってきた知識やスキルが社外に出てしまいます。
一方、退職した社員の中にも、転職先で思うようなキャリアを描けなかったり、以前の会社の良さを改めて感じたりして、戻りたいと考える方がいるでしょう。
しかし、一度退職した会社に「もう一度働きたいです」と伝える事には、心理的な抵抗があります。
会社側も、再度入社した社員をどのように評価し、どのような給与で迎えるべきか悩む事かと思います。
では、一度辞めた社員をどのように会社は受け入れるべきなのでしょうか。私は、これからの企業は、一度退職した社員を積極的に受け入れられる環境を作るべきだと考えています。
今回は、その為に大切な3つの視点をお話しします。
① 退職を「会社への裏切り」と考えない
まず大切なのは、退職を会社への裏切りとして捉えない事です。
会社としては、時間をかけて育成した社員が退職すると、残念な気持ちになる事もあるかと思います。
「これからもっと活躍してもらいたかった」
「せっかく仕事を覚えたのに、なぜ辞めるんだろう?」
そう感じるのは自然だと思います。
ただ、従業員にも自分の人生があります。
結婚や出産、育児、介護といったライフステージの変化もあれば、他社で新しい仕事に挑戦したい時期もあります。
その時点では、自社で働き続ける事が本人にとって最善ではない場合もあるでしょう。
だからこそ、会社は退職という選択を尊重する必要があります。
一度会社を辞めたからといって、その人の能力や人間性が否定されるわけではありません。
むしろ、他社で新しい経験を積み、以前とは違う考え方や能力を身につけて戻ってくる可能性もあります。
退職したら関係が終わるのではなく、将来また一緒に働く事も出来ます。
そう考えられる会社の方が、従業員にとって安心してキャリアを選べる職場になると思います。
② 再入社した社員の評価基準を明確にする
次に大切なのは、再入社する社員の採用基準や評価制度を整える事です。
例えば、同じ時期に入社した社員のうち、一人は会社で働き続け、もう一人は退職して数年後に戻ってきたとします。
その時に、再入社した社員の給与が、働き続けていた社員より高くなる事も考えられます。
外部で専門的な経験を積み、会社に必要な能力を身につけていれば、高い給与で迎える合理的な理由にはなる一面もあります。
しかし、単に「戻ってきてくれたから」という理由で優遇してしまうと、既存社員の不満に繋がります。
だからこそ、会社として、
「どのような能力を評価するのか」
「外部で身につけたスキルを、どの業務に活かしてもらうのか」
「どのような役割や責任を期待するのか」
を制度として明確にする事が重要です。
また、退職前に働いていた経験だけでなく、退職後に何を学び、どのような成果を出したのかもしっかりと確認する必要があります。
一度在籍していたからといって、必ず再採用するわけではありません。
現在の会社の方向性と本人の希望が一致しているかを、改めて面接などで確認する事も大切です。
再入社した社員も、働き続けている社員も、それぞれの能力や貢献に応じて公平に評価される、そういう仕組みがあってこそ、アルムナイ採用はうまく機能すると思います。
③ 退職した社員との関係を続ける
3つ目は、退職した社員との接点を持ち続ける事です。
一度退職すると、会社との関係が完全に切れてしまいがちです。
そうなると、本人が再入社したいと思っても、どのように連絡すればよいのか分からなくなります。
会社側としても、その社員が今どのような経験を積み、どのような仕事をしているのか把握できません。
だからこそ、希望する退職者とは、無理のない形で関係を続けていく事が重要です。
例えば、会社の近況をまとめた社内報を退職者向けに配信したり、新しい事業やプロジェクトの情報を、公開できる範囲で共有したり、再入社を希望する方が気軽に相談できる窓口を設けたりする取り組みが考えられます。
もちろん、退職者本人の希望を確認し、個人情報や機密情報の管理にも配慮する必要があります。
大切なのは、退職者に会社に戻ってきてもらう事ではありません。会社と本人の間に、将来また仕事ができる可能性を残しておく事です。
また、このような関係があれば、会社側も今いる社員に対して、長く在籍させる事だけを目的にしなくなります。
今任せている業務が本人の成長に繋がっているのか
本人の能力を十分に活かせているのか
会社が目指す方向と本人の希望が一致しているのか
こうした事を日頃から確認でき、必要な教育や役割を考えるきっかけにもなります。
まとめ 退職は、会社との関係が終わる事ではない
私は、これからの企業は、一度退職した社員を積極的に受け入れられる環境を作る事が大切だと考えています。
その為には、
退職を会社への裏切りと考えない事
再入社時の採用・評価基準を明確にする事
退職後も本人の希望に応じて関係を続ける事
この3つが重要です。
従業員は、会社に縛られる存在ではありません。
自分の人生やキャリアに合わせて働く場所を選び、その時々で必要な経験を積んでいく事も非常に大切です。
会社としては、従業員が外で学ぶ事を否定するのではなく、そこで得た経験を将来また自社で活かせる仕組みを整えておく。
一度離れたとしても、また一緒に働きたいと思ってもらえる関係を作る事が、これからの人材採用では重要になるのではないでしょうか。
サンキャリアとしても、社員のキャリア選択を尊重しながら、会社と従業員が長期的に信頼関係を築ける採用・人事制度づくりを支援していきたいと考えています。
本ニュースをご覧になり、人事労務管理に関するご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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