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  • 執筆者の写真田村陽太

【第64回】海外販売代理店の決め方(販売戦略編)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日のテーマは、「海外販売代理店の決め方(販売戦略編)」についてお話していきたいと思います。



前回まで海外販売代理店にどのような権限、業務を与えていくかを明確にする契約書の策定方法や海外販売代理店の営業意欲を維持し、自社製品・サービスの販路拡大を後ろから支援していくフォローの仕方、そして海外販売代理店としてしっかりと事業を行っていけるかを見極める為の方法をお話しました。



今回は海外販売代理店に営業を任せていたが、進出国の営業状況も良くなってきたので現地法人を設立したいと考えるタイミングになってきた企業や、それに伴い現地法人と海外販売代理店の営業地域の区分けをどうしたら良いかが分からないという企業が、海外販売代理店に業務を任せていく為に重要な事、その戦略についてお話していきたいと思います。



海外販売代理店と現地法人の業務の区分けで重要な事は以下となります。



➀現地代理店自身で開拓した顧客に関しては余程の事がない限り任せる



代理店自身が営業して獲得した顧客に関しては、現地法人で囲い込まず代理店に継続して営業フォローをさせるようにしましょう。



サービスメンテナンス等の技術スタッフがいない、代理店から顧客までの移動距離があまりにも遠い等で現地法人での契約にする事は選択肢としてあり得るかと思いますが、必ず代理店と頻繁にコミュニケーションをとって代理店の営業状況を把握しながら提案していきましょう。



②現地法人が大型顧客を獲得した場合に関しては状況に応じて代理店に連絡する



日本本社にとって大口の案件が現地法人経由で獲得した場合に関しても、状況に応じて代理店に案件を獲得できた事を報告する事が重要です。日本と違い、海外では顧客の情報公開のプライバシーの意識が低い地域も多くあります。



代理店に直接言っていなかった事もいつの間にか顧客経由等で現地の販売代理店に話が伝わってしまっていて、「なぜ早くあなたの会社から言ってくれなかったのだ。」と不満やクレームを言われてしまう事もトラブルとしてよくあります。



「海外では世界が狭い。」事を特に意識し、様子を見て案件の情報共有をしつつ、案件の難易度によっては販売代理店にもその大口顧客のプロジェクトに絡んでもらえないかという姿勢でいる事が、海外販売代理店との信頼関係構築や販売意欲の維持に繋がります。



③販売地域の区分けや顧客名の管理は漏れなく厳重に行う事



国によっては大都市近郊だと販売顧客数が多く、現地法人案件と代理店経由案件と混在する事も多くあります。あらかじめ販売代理店と現地法人の営業できる範囲を地域別に区分けして顧客管理をするか、現地法人別、代理店別にどの顧客を獲得したかのチェックリストを整備しておくことが重要です。



これは納品時のトラブルが発生した際に、自社か代理店かどちらに責任があるかを明確にする理由もありますし、一番大きいのは想定していた顧客の契約の口銭(マージン、コミッション)やエンドユーザーへの販売価格の伝達ミスにより、日本本社がどれだけ粗利をとっていたか、代理店が案件ごとにどれだけの口銭を獲得したかが判明してしまい、販売代理店の営業意欲が下がってしまう事に繋がるというトラブルが発生するからです。



たとえ良好なコミュニケーションを構築していたとしても、ちょっとしたミスで海外販売代理店との信頼関係が崩れてしまうのは本当に一瞬ですので、情報管理には十分に配慮しましょう。



本日は「海外販売代理店の決め方(販売戦略編)」についてお話しました。今回までの4エピソードで全般的な重要事項についてはお話出来たのではないかと思います。



また今後積極的に海外事業を考えていく中で、代理店を決めていきたいというご相談があればお気軽に弊所へお問い合わせくだされば幸いです。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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