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  • 執筆者の写真田村陽太

【第71回】海外現地法人設立の進め方(④海外売上のシミュレーション方法)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「海外現地法人設立の進め方(④海外売上のシミュレーション方法)」についてお話していきたいと思います。



製造業を伴わない海外事業の場合「海外支社」という進出形態でも対応可能な業態もありますが、比較的全業種において海外で事業活動が出来る「現地法人」という形での売上予測の方法について説明したいと思います。



まず海外の売上をシミュレーションする際に注意すべき事は「売上高」だけ向上させようとするのみではいけないという事です。これは企業経営を行っていれば当然の事ですが、企業の売上に対してどれだけの「経費」がかかるかを試算し、その「売上高-経費」の利益がどれだけ算出できるかを考える事が海外の売上を予測する上で重要な事です。



最初に、「売上」を予測するために重要な事ですが、「売上高」は、簡単に言うと、

「自社の商品・サービス単価×販売数」で算出できます。



「自社の商品・サービス単価」を割り出すために必要な事項として、


・商品原価

・人件費

・広告費

・競合他社の価格

・競合他社の商品の品質

・商品開発・修繕等で必要な費用

等が単価の値段付けに必要な事項となってきます。



また「販売数」を割り出すために必要な事は、



・潜在購買予想人口(商品の性質的に年齢別、性別、職業別等で購入してくれそうな人口)

・潜在購買予想人口一人当たりの年平均の購入数

・購入リピート率

・一年のうちいつ販売するか

・消費者が購入すべき法改正や税制等の縛りがあるか

・商品の耐久年数が何年か

等が必要になってきます。



 海外市場での販売となると、競合他社の価格の値付け感や輸入コスト等も日本と大きく違うので、現地市場に詳しい担当者や代理店の方と一緒に市場調査に協力してもらう事が重要です。



また、企業の製品や業種によって「自社の商品・サービス単価」「販売数」の予測は異なりますので、今までの販売成績や今後の商品ラインナップ等も考慮しながらシミュレーションしてみる事が大事です。



また、「経費」を予測するために重要な事ですが、

営業利益を割り出す際に必要な「売上原価」「販売費」「一般管理費」から考えてみましょう。


・商品原価

・開発費用

・広告宣伝費

・各種代理店への販売手数料

・現地社員の給料

・事務所の家賃

・水道光熱費

・出張費



等が必要になってきます。特に現地社員の給料に関しては、単純に月給や時給×労働時間数での算出だけでなく、「営業開始から受注するまでにどれだけ日数がかかったか」や「見込み顧客を契約獲得出来た率はどれくらいなのか」によって、人件費を多く見積もる必要があります。



また、日本と比較して海外への納品だと気候や商習慣等により会社が想定していたよりも多くのメンテナンスや開発費用等が発生する事もあるので、このあたりの費用のシミュレーションを行う事も重要です。



このように利益を算出した後、進出国の法人税や事業税、法人住民税を支払う必要がありますので、進出国の税務情報を確認し、業種ごとの各種税金のシミュレーションも事前に行っていく事が重要です。



また進出形態によっては、軽減税率や現地労働者の雇用創出率に応じた各種優遇策やインセンティブ等もありますので、事前に綿密に調査しておきましょう。



売上予測を行う事で、自社の利益がどれだけ会社に残り、会社全体のうちどれだけが海外事業の売上で賄えるかをシミュレーション出来ますし、海外事業を行っていく上で現地国の投資家から資金を現地法人に対して投資してもらう上でも有利に働きますので是非海外進出前に準備しておきましょう。



今回は海外現地法人設立の進め方(④海外売上のシミュレーション方法)についてお話しました。次回は海外現地法人設立の進め方(⑤労働力の確保と労働法)についてお話させて頂きます。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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