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  • 執筆者の写真田村陽太

【第87回】海外駐在が決まったら~Q&A~(海外駐在中の産休育休は取れるの?)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は日本企業で勤務する社員が海外駐在員として派遣すると決まった際によく聞かれる質問として、「~Q&A~(海外駐在中の産休育休は取れるの?)」をお話していきたいと思います。



◆産休・育休とは?



本題に入るまでに、産休・育休とは何かについてお話していきたいと思います。

産休とは、「産前休業」と「産後休業」の2つに分かれています。産前休業とは出産予定日以前6週間(多胎出産だと14週間前)から従業員が請求すれば取得できる休業です。



産後休業は出産後8週間、従業員の請求に関わらず取得しなければならない休業です。(医師が就業に問題ないと認め、従業員本人が働きたいと申し出た場合は6週間までで良いとされています。)



育休とは育児休業の事で、女性でしたら産後休業後、生まれたお子様が1歳になる前日まで取得できる休業の事を、男性でしたら出産後お子様が1歳になる前日まで取得できる休業の事を指します。



保育園の入所が1歳になる前日までに難しければ1歳6か月になる前日まで、保育園の入所が1歳6か月になる前日までに難しければ、2歳になる前日まで育児休業の延長が認められます。



◆産休・育休中の給付制度

上記の産前産後休業中、育児休業中に関しては、会社で対象従業員に対して賃金を支払う義務はなく、無給の会社も多くあります。その場合でも健康保険や厚生年金・雇用保険から給付が出ます。



(健康保険)

・産休・育休中の保険料免除

・出産手当金(産前産後休業期間中におよそ日給の2/3が支給されます。)

(厚生年金)

・産休・育休中の保険料免除

(雇用保険)

・育児休業給付金(育児休業期間中におよそ日給の1/2~2/3支給されます。)




◆海外駐在中の産休・育休について

それでは本題に戻りますと、海外駐在中に産休・育休を取得する事が出来るかですが、「制度上は〇」しかし「給付内容上は△」となります。△とは歯切れが悪いご説明ですが、つまり海外駐在員として勤務している雇用契約や待遇がどうなっているかによって産休・育休中の無給期間に支給される内容が異なるという事を意味しています。



例えば雇用保険から出る育児休業給付金ですが、この支給条件として、



「原則、育児休業開始日を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること」、もしくは「産前休業開始日を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上である事」となっております。(令和3年9月から改正されました。)



つまり、産休開始前の2年間に海外駐在が被っている場合は、駐在中に出向元から賃金が支払われていない場合1年間の賃金支払い実績がなく、育児休業給付金が支給されないケースがあります。



また、海外駐在中に産前産後休業を取得した場合、扱いは休業となるので、赴任国によってはビザ発効要件として、年収要件や勤務実態要件、在籍要件等を見られ、産休育休を行う事で滞在ビザの延長が出来ない事もあるので、海外赴任中の産休育休が滞在ビザに影響しないかを大使館や現地管轄機関に充分に確認する必要があります。



また出産にあたって40.4万円の一時金がもらえる出産育児一時金は海外で出産した場合は、現地の病院で費用を全額立て替え、後程健康保険協会に申請するという形を取ります。国内出産だと利用できる直接支払制度(協会けんぽから直接医療機関等へ出産育児一時金が支払われることから、医療機関等の窓口で被保険者が出産にかかった高額な費用を支払う必要が無い制度)は、海外出産ですと利用できないパターンが多いです。



その為、出産のタイミングで一時帰国させるというのも企業の人事としては一つの選択肢かと思いますのでご検討頂ければ幸いです。(一時帰国の際の給与等税務的なルールがありますが、これは後日ご説明させて頂きます。)



今回は、日本企業で勤務する海外駐在員が産前産後休業、育児休業を取得する事が出来るのかについてお話させて頂きました。また何か不明点等あれば弊社に何なりとご相談くだされば幸いです。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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