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【第17回】従業員を海外出張させる際の労務管理で重要な事(⑤日本本社での出張時リスクマネジメント体制構築 前編)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。


本日のテーマは、従業員に海外出張をさせようと考えている企業が労務管理を円滑に行う上で必要なプロセスの第五段階目である、「⑤日本本社での出張時リスクマネジメント体制構築」の重要性についてお話したいと思います。


この第四段階目までに関しては、自社が海外展開を行っていく上で、従業員が安全衛生面的に良好な環境で海外出張に行く事が出来、自社の従業員がストレスなく、モチベーション高い状態で業務に取り組み海外での成果を上げるためにはどうすれば良いかのお話をさせて頂きました。


そして、海外での市場調査や、海外出張の際に力となってくれる公的機関や大使館、海外商工会議所のサポート体制を知る事、海外販売代理店等のパートナーとの連携や関係構築のついて理解する事の重要性もお伝えしました。



今回お話するのは、そのような形で従業員の労務管理を円滑に進める上で企業が最大限出来る努力をしてまでも、海外出張中に従業員の身に不幸や事件が起きた際の企業での連絡体制、対外的な取組、部署内の指示体制に関しての「リスクマネジメント」に関してお話したいと思います。



ところで、海外出張中の従業員の身に不幸や事件が起きる際の「リスク」とは何があるでしょうか。海外出張中に従業員が巻き込まれるリスクとして代表的なものは以下が挙げられます。(引用「東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 海外危機管理のポイント②海外赴任者の危機管理・健康管理」)


➀犯罪被害(窃盗、スリ、恐喝、置き引き等)

②テロ・誘拐(自爆テロ、身代金要求等)

➂自然災害(大地震、津波、竜巻、大雨等)

④政情不安(クーデター、反政府デモ等)

⑤感染症(新型インフルエンザ、コロナウィルス等)

⑥大気・環境汚染(PM2.5、自動車排気ガス等)

⑦メンタルヘルス不全(心的負担、過労等)

⑧医療水準の問題(医療機関の不足、誤診等)

⑨飲食物の安全性(水質、化学物質等)



➀~➃に関しては突発的事件・事故により、赴任者が死傷するリスク、⑤~⑨に関しては疾病や環境に起因する健康被害等で、赴任者が健康を害するリスクとなり、大きく2つに分けられます。


このようなリスクが起きる事を想定して、企業はこのようなリスクが起こった際にスムーズに対処し、更なる被害が起こらないような「減災」の対応を求められます。



なぜこのようなリスクに企業は対処していかなければならないでしょうか?それは企業が従業員を雇用する際の義務であるからです。



労働契約法第5条では「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働ができるよう、必要な配慮をするものとする。」 と定められています。いわゆる「安全配慮義務」と呼ばれるものです。



従業員が職場において、「自らの職務に安心して専念できるような環境を企業が提供している事」が雇用契約を結ぶ際の大前提となるという意味です。



「万が一のリスクに対して企業はこのように対処します。」「万が一のリスクに対して企業は従業員が安全に働けるように〇〇の取り組みを徹底します。」「万が一のリスクに対しての知識をつけるための研修を海外出張対象者に対して行います。」



のように、リスクが実際に発生するかは分からないが、事前に企業が上記のような取り組みをする事で、従業員は海外での業務に安心且つ集中して取り組むことが出来ます。



リスクを想定しての企業の減災の取り組みが不十分で、従業員任せにしている場合は、社員の即座での状況判断力、行動力の低下、就業意欲の低下等更なるリスクの増大に繋がるので、企業は精一杯リスクマネジメントに関して対応すべきです。



文量が来てしまいましたので、次回も続編で日本本社での出張時リスクマネジメント体制構築を行っていく上で重要となる事をお話したいと思います。各リスクに対しての具体的なリスクマネジメントの流れや進め方に関してお話したいと思います。宜しくお願いいたします。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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