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執筆者の写真田村陽太

【第36回】日本企業が海外駐在員の労務管理を行う上で重要な事(⑥現海外駐在員からの業務進捗管理・次期駐在員への業務引継ぎ・人事部での面談立会い)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は【海外駐在員を派遣するまでの人事部がすべきステップ】の第六段階目、⑥現海外駐在員からの業務進捗管理・次期駐在員への業務引継ぎ・人事部での面談立会いを行う上で重要な事をお話致します。



前ステップでお話しました、海外駐在対象者を選出し、生活支援のサポートの目途も立てば、その後やるべき事として、既に海外駐在を行っている前任者との業務の引継ぎをしっかりと行う必要があります。



前任者が海外現地法人設立の初代社長である場合に関しては、売上の達成目標や工場の生産性向上目標等、到達すべき目標が見えないまま運営を進めてきたという企業も多いので、引継ぎ時には潜在顧客のアプローチ方法やその際の注意点、自社の課題等を前任者からポイントを絞って引継ぎを行う必要があります。



また工場の生産管理マネージャー、サービスメンテナンス管理者等、工場の技術責任者の海外駐在員として赴任した際には、現状の工場の製造ラインごとの課題、ボトルネックとなっている事項の整理、そして梱包・通関、日本からの配送スケジュールなどの輸出入に関する問題等、現地法人に訪問してみないと分からない点を詳細に引継ぎしていく必要があります。



前任者から次の駐在員の引継ぎにおける企業の良くある失敗例として、前任者が日本本社へ異動する事となり、赴任前の職位よりも昇格して帰任する理由から、次赴任者に対して都合の良い事項のみ引継ぎをし、前任者にとって都合が悪い事項に関しては話さず、全く引継ぎしないパターンです。



前任者との引継ぎに関しては次期駐在員が出張ベースで現地法人に訪問して引継ぎを行うケースが多いですが、弊所が推奨するのは人事部と次期駐在員対象者が一緒に出張ベースで引継ぎする方法です。



人事部が引継ぎで海外出張に同行するメリットとしては①前任の駐在員と多角的な視点で業務の引継ぎを行うことが出来る事。②前任者にとって都合が悪い事項に関しても引継ぎや洗い出しをしっかりとする事が出来る事。➂次期駐在員が海外駐在を行う上での不安を払拭してあげられる事。➃人事部が海外駐在員の労務管理に関して積極的に現状把握し、参画しようとする気概を持ってもらえる事の4点が挙げられます。



➀に関しては、あらかじめ引継ぎ事項として現駐在員、次期駐在員、人事部それぞれでチェックリストを作成してもらい、その資料に基づいて現地の工場や現地社員の働く様子を見ながら面談して引継ぎを行う事が望ましいです。



②に関しては、人事部が次期駐在員から事前に駐在前の不安に関してヒアリングを行い、人事部が率先して前任者に対して引継ぎ時に質問をすることが良いです。



➂に関しては、海外駐在赴任後に発生するトラブルを事前に予測できる事や日本から離れて駐在している時にでも、人事部が海外駐在員の働き方に関して見守っているという次期駐在員の安心に繋げられる上でも重要です。



➃に関しては、日本企業の人事部がよく陥るケースとして、日本国内の従業員の労務管理はしっかりとするが、海外駐在員や海外出張者に関しては「海外」の事だし、海外事業部や海外営業担当者に労務管理を任せっきりというパターンです。人事部が第三者として海外の労務管理の現状を把握する姿勢が、適切な海外事業の体制を構築できますし、人事部が海外の現状を把握するためにはまず現地に行かなければ分からない事が多いためです。



新型コロナウイルスの影響により海外出張に行く機会が少なくなっておりますが、WEB会議システムを利用したオンライン面談を行う事も効果的かと思います。その際には、面談のみではなく、事前にチェックリストに基づいた事項に関してのレポートを前任者から提出してもらい、面談に望むことが重要かと思います。



以上で、現海外駐在員からの業務進捗管理・次期駐在員への業務引継ぎ・人事部での面談立会いを行う上で重要な事をお話しました。次回は⑦給与支払いや健康保険の療養費申請・税務手続き等の毎月の税務・労務管理を行う上で重要な事を詳しくお話していきたいと思います。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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