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  • 代表 田村陽太

【第78回】貿易実務書類の準備方法(輸入編④)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日のテーマは、海外企業から製品を輸入する際に書類作成の必要がある「貿易実務書類の準備方法(輸入編④)」についてお話していきたいと思います。



⑥注文書



前回のブログで記載しました見積書の記載内容を充分にチェックした後、代金の減額の交渉、建値や支払い条件、そして納期等の交渉に入ります。自社の納品スケジュールや予算等も考慮して、自社が納得いくまで内容を詰めていく事が重要です。



その場合にメールや電話等で契約内容の交渉を進めていくかと思いますが、当初の見積書の内容と変わった箇所がある場合には必ず修正分の見積書をもらうようにしましょう。



メールでのやり取りだけですと、コレポンや送信履歴を後から検索するのが難しかったり、万が一ウィルス等でメールボックスが消去した際には輸出者側に証拠で以てクレームする事が大変であったりするので、必ず修正版の見積書を都度客先から回収し、日付ごとにファイリングしておくことが重要です。



注文書(Purchase Order)の書き方に関しては原則的に見積書の最終版で合意した各種支払・契約条件を盛り込んで作成しますが、客先が注文書の内容を承諾した事が分かったように注文請書(Order Confirmation)を作成しましょう。



注文書を2部作成し、輸入者側、輸出者側の署名・捺印が出来るようにする、もしくは注文請書を自社で別紙に作成するか輸出者側に作成してもらうようにしましょう。



⑦売買契約書(輸入契約書)

注文書と注文請書でのやり取りであっても、輸出者、輸入者が合意していれば、契約は成立するので(諾成契約)、改めて契約書を締結する必要がないのではと考える方もいらっしゃるかもしれません。



しかし、海外企業との売買契約には様々なリスクが考えられます。例えば、海上輸送中の機械の故障や機物到着後の不具合、その不具合がある製品を使った消費者が事故に巻き込まれた際の損害賠償請求、契約当事者が倒産した場合の代金支払いや製品引き渡しの義務がどうなるか等様々なリスクが考えられます。



相互の合意で成り立っている契約だからこそ、どの部分・範囲までが輸出者・輸入者の責任かを明示する必要があります。



通常契約書は、前編後編の2部構成で作成します。前編は表面約款と呼ばれるもので、原則的に注文書で記載した契約内容を記載します。後編は裏面約款(一般取引条件)と呼ばれるもので、基本的に記載する事項としては、



・増加費用(契約後に発生したコストをどちらが負担するか)

・検査(輸出前に厳格な出荷前検査を実施する)

・クレーム(貨物到着後〇日以内までにクレームを言わないと返品不能等)

・不可抗力(売主、買主共に予想が付かない事態が起きた際の責任を負うのかどうか)

・債務不履行(倒産時や契約不履行等が起きた場合の契約当事者の債権債務をどう処理するか)

・契約の準拠法、仲裁・あっせんの方法



等が挙げられます。この売買契約書は以前お話させて頂きましたNDA(秘密保持契約書)と同様で、自社で作成した契約書のひな形を客先に提示し、交渉した方がスムーズかつ有利に進めやすいですので、輸入時、輸出時どちらも想定して売買契約書のひな形を締結しておくことをお勧めします。



本売買契約書は万が一客先から代金の回収が出来なかったり、商品・機物を受け取れなかったりした場合等のトラブルについて、どのように今後解決するか話し合う際の重要な証拠書類である事は間違いないです。



しかしながら、国内取引と異なり日本と海外での取引は距離的・時間的に離れている事もあり、自社にとって万全な契約書を作成し、それを基にいざ裁判を起こしたり、クレームを起こしたりしたとしても、裁判費用が高額にかかってしまったり、やり取りに時間がかかってしまったりすることで、契約に有利な方が泣き寝入りする事も多々あります。



ですので、上記の売買契約書の締結を交渉していく事は、当事者同士に万が一のトラブルが起こらないようにあくまで輸出者と輸入者が真剣に海外取引を行うように意識づける為、そして相互に不正をしない為の「抑止力」の役割として考えて頂ければと思います。



今回は、「貿易実務書類の準備方法(輸入編④)」に関してお話させて頂きました。輸出・輸入それぞれの手続きで必要な書類が分かれば、どのような企業に対してもどの点に注意すれば良いかが理解でき、今後スムーズな海外取引を行う事が出来るようになります。



これから海外取引を本格的に始めようとする企業は、すぐに準備に取り掛かれるように是非とも今のうちからシミュレーションしておきましょう。