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  • 執筆者の写真田村陽太

【第122回】育児介護休業法改正と外国人社員支援について(後編)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は2022年4月から順次労働法関連の法改正項目として注目されている「育児介護休業法改正と外国人社員支援について(後編)」をお話ししたいと思います。



前回のおさらいですが、外国人社員も日本人社員と同様、育児介護休業については取得する事が出来ます。ただ、労働条件によっては育児介護休業を取得したとしても各種社会保険からの手当等をもらえず、ただの休業期間になってしまう可能性がある事は注意が必要です。



今回のニュースでは外国人社員から育児休業を取得したいという申し出があった時に企業がやるべき事や注意点についてお話ししていきたいと思います。



主な注意点としては以下が挙げられます。



① しっかりとした育児介護休業法の制度や仕組みの説明を従業員に行う

② 外国人の母国の制度と日本の育児休業制度の違いについてもヒアリングする

③ 業務の引継ぎ、休業中の対応等についてのフォローアップをしっかり行う


の3点です。



まず①ですが、今年4月の10月の法改正はもちろんの事、育児休業の対象となる従業員はどういったものか、育児休業取得までのスケジュール、育休期間中の報酬、手当等について等の基礎的な情報共有はしっかりと行いましょう。



日本人社員でも理解するのが非常に難しい育児介護休業法ですので、外国人社員とのミスコミュニケーションがないように、よく育休について従業員の関心事項となる(1)育休期間(2)報酬、手当(3)昇給・降格等の人事待遇については必ず説明を行うようにしましょう。



厚生労働省から、外国人社員に育児介護休業法を説明する際に利用できる資料も「英語」「中国語」「ベトナム語」「ポルトガル語」と4言語も多言語対応できておりますので、下記リンクの資料を使って説明するのもおすすめです。



育児介護休業法 リーフレット「育児・介護休業法の概要」



次に②ですが、国によっては従業員の育児介護休業に関するルールが日本と大きく異なる場合がありますので、注意が必要です。例えばベトナムでは、6か月の産前産後休業を会社で有給休暇として支給しなければなりません。(ジェトロ・ビジネス関連法規・通達参照)



またフィリピンでは、出産予定日前に最低2週間、分娩後に4週間の出産休暇(有給)が付与され、既婚男性は妻が出産の際には7日間の有給休暇が付与されるという独自のルールもあります。(同ジェトロ・ビジネス関連法規・通達参照)



来日される外国人の中には若い方や未婚の方だけでなく、一度母国で出産を経験された後に来日される方も多く、母国で育児介護休業を経験されたうえで、日本で育児介護休業を経験されるという方もいらっしゃいます。



そのため、母国では当たり前だったルールが日本では認められておらず、育児介護休業中の待遇に関する認識の違いが発生し、従業員と会社の間でトラブルが起こる可能性もありますので注意が必要です。



次に③についてですが、育児介護休業を取得するのはもちろん従業員の権利ですが、育休を取得すれば代替要員を入れない限り、残されたメンバーで今までの業務を行う必要があるわけであるので、必ず残された他のメンバーが円滑な業務が出来るように、育休を取得する対象者にしっかりと引継ぎを行うよう企業が働きかける事も重要です。



また外国人社員は働きながら日本語を覚えたり、日本人とのコミュニケーション方法を理解していったりと、会社に出勤して仕事をすることで日本企業での働き方を覚えていきますが、育児休業等の休業中になると日本語を聞く習慣等がなくなりブランクが空いてしまう事から、業務スキルが低下してしまうことも懸念点としてよく聞きます。



育児休業期間中も育休取得者に対して、義務ではないが通常の業務の会議の様子を見てもらったり(会議には参加しない)、休憩時間に会社の会議室を育休取得者に開放して、その時間帯はいつでも同僚や他社員と会話が出来るような機会を設けると良いです。



そうすれば日本語力の低下が防止されたり、育児期間中のストレス発散が出来たりと非常に良い効果をもたらしますので良いかと個人的に思います。



本日は「育児介護休業法改正と外国人社員支援について(後編)」についてお話しました。

今年の法改正によって従業員の「育休」への関心がますます高まり、今後人事部や部署の上司への問い合わせが増えてくると予想されます。



日本人社員や外国人社員からの問い合わせに対して懇切丁寧に答えられるかによって、従業員の安心感が高まり、その後の会社の定着率も高まっていきます。定着率が高まって離職率が下がっていけば、この会社に入社したいという方の母数も増えてくると個人的に思います。



企業の採用や定着に必要な対策は、沢山お金をかける事や時間・労力をかける事も重要なアプローチですが、一番良い方法はどの企業も必ず対策しなければならない「労働法を遵守する」という当たり前の事をまずしっかりと対策することが重要です。



弊所でも育児介護休業を円滑に取得するための企業サポートや、とりわけ外国人社員が多い企業が育児介護休業を取得出来るための進め方のアドバイス等も行っておりますので、まだ4月や10月の法改正に対して対策が出来ていない企業様等いらっしゃいましたら、弊所にいつでもご相談ください。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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