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  • 執筆者の写真田村陽太

【第203回】『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~③』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~③』についてお話していきたいと思います。



前回は【海外現地社員をリモート勤務で採用する上で注意しなければならない事】として、



➀現地社員の各種社会保険の加入手続きについて

②現地社員のリモート勤務時の就業ルールについて

③日本在住社員との待遇、福利厚生、配置転換等の人事異動の差について



があるというお話をしました。今回は③からお話していきたいと思います。



【③日本在住社員との待遇、福利厚生、配置転換等の人事異動の差について】



最近では、既に海外に住んでいる日本人社員だけでなく、現在は日本に住んでいるが今後海外に住みながら日本企業とのお仕事で給料をもらい、生計を立てていきたいと考える方も増えてきていると感じます。



企業側の処遇として、日本に住んで勤務してくれる方を会社の主軸である業務を行ってくれる社員とし、海外に住んでいる方を補助的な業務をする社員として役割分担とするのであれば、そこまで日本在住社員と海外在住社員での賃金や待遇等の不平不満が起きにくいかと思います。



ただ、社会的にリモートワークが進んできた中で、海外に住む社員と日本に住む社員の業務内容や責任の度合、そして賃金体系や福利厚生等も統一化していこうと考えている企業の場合は、日本在住社員と海外在住社員との間の不平不満が起きやすくなるかと思います。



なぜならば、社員の職責としては単に自身の業務内容をこなすだけでなく、



・配置転換や異動等に対応できるか

・残業や深夜勤務等に対応できるか

・定期的な社内ミーティング等の集団行事に参加できるか



等日本企業で働く上では、自身の業務内容以外の会社での働き方にどれだけコミットしているかが重要になってくるためです。



その為、海外在住の完全リモート社員を雇用する場合は、海外在住のリモート社員とその他日本在住の社員との待遇や業務内容、福利厚生等の違いがどこにあるかを事前に明確化する事が非常に重要です。



そして、その違いを明確化した後は、社内の各雇用形態別の就業規則や賃金規程を作成し、例えば、



・各雇用形態における主な職務内容や職責は何か

・各雇用形態を区分する明確な違いはどこか

・各雇用形態別の勤務ルールはどのようになっているか

・各雇用形態別の賃金支給はどのようなルールであるか

・各雇用形態から別の雇用形態に変更、異動する際のルールはどのようになっているか



を社内で明確化し、就業ルールを運用していく事が非常に重要です。



また、先ほどお話しましたが、最近では海外に住みながらリモートワークで日本企業と働きたいという方が増えている事から、入社当時は日本在住で勤務していたが、その後海外在住でリモートワークでの勤務を希望する方も増える可能性は十分にあります。



その際に、よくあるトラブルとなりやすい会社の対応としては、日本での勤務の延長として、海外リモートワーク勤務後も賃金や福利厚生の内容を特に変更せずに雇用を維持する事です。



海外に住んでも日本勤務の際と全く同じように勤務できるのであれば、上記のような扱いでも大丈夫かと思いますが、ほとんどの場合、全く同じような業務内容や職責で働いてもらう事は難しく、その後他の雇用形態で働く社員からの不平不満が多くなり、トラブルとなるケースが多くなると私個人的には感じております。



その為、一番重要な事として、まずは日本勤務の社員を雇用形態別に職責や業務内容、その他行うべきことをしっかりと整理し、その上で海外リモートワーク勤務の方が対応できない部分はどこかを洗い出し、その後日本勤務の社員と海外勤務社員との間にどれだけ賃金や福利厚生等処遇の差を設けるかを考える事が非常に重要です。



本日は『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~③』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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