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  • 執筆者の写真田村陽太

【第201回】『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~➀』



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~➀』についてお話していきたいと思います。



弊所へのお問合せとして、「海外に住んでいる現地社員を日本本社への出社無しの完全リモート勤務で雇用したい」というご相談が増えております。日本製品の輸出入を行う上での現地語への翻訳業務や、現地営業活動・販売促進活動の情報収集等に従事する為に、現地の最新情報にキャッチアップできる現地人材を採用したいという企業様の意向を最近はよく聞きます。



本日は、海外に住む現地社員を採用する上で企業が取り組むべき事項や、現地社員を採用する事で改めて注意しなければならない事等についてお話していきたいと思います。



海外現地社員をリモート勤務で採用する上で注意しなければならない事は大きく3つあると考えております。



➀現地社員の各種社会保険の加入手続きについて

②現地社員のリモート勤務時の就業ルールについて

③日本在住社員との待遇、福利厚生、配置転換等の人事異動の差について



以上が考えられます。



以前のニュースで関連したテーマを取り上げておりますので、宜しければ参考までにご覧ください。



【過去回ニュース、第103回】こんな時どうする?Q&A~(海外在住の従業員をフルリモートで雇用した場合の注意点)






【➀現地社員の各種社会保険の加入手続きについて】



まず①ですが、通常日本の会社で従業員を雇用する際に、条件に合えば加入させなければならない社会保険「労災保険」「雇用保険」「健康保険・介護保険・厚生年金保険」を海外在住のリモート勤務社員に適用させなければいけないかというお話です。



結論から申し上げますと、「ケースバイケース」となります。



まず、労災保険に関しては基本的に勤務国での属地主義を取っているので、業務上の傷病に関しては、滞在国のルールに応じて現地の労災保険に加入する必要があります。またリモートでの勤務となりますので、原則通勤行為は無いですし、業務に起因する郵便物の発送や受け取り等の業務中のケガが発生する要因は極めて低いです。



ですので、滞在国のルールとして労災保険の加入等に関して制限が無いのであれば、現地社員に労災保険のルールや留意点についてしっかりと説明し、現地国の労災保険の加入として費用は後日立て替えたり、現地社員ご自身で任意で業務上の傷病をカバーする保険に加入してもらったりする事を、会社としてお話して頂く事も一つの選択肢かと思います。



次に「雇用保険」「健康保険・介護保険・厚生年金保険」ですが、原則日本本社の所属で指揮命令下にあり、労働の対価として給与が支払われている場合には週の労働時間に応じて各種社会保険に加入させなければなりません。(介護保険は、日本に滞在する社員のみが加入対象となるので、海外住みの社員は原則対象外となります。)



ただこれは各保険の管轄であるハローワークや年金事務所の最終的な判断により加入の有無の決定がされるので、企業は各機関の担当者へ確認をする必要があるかと思います。



というのも、日本本社の指揮命令下で勤務しているといっても、常に該当社員が海外での勤務となっている場合は、日本の「雇用保険」「健康保険・介護保険・厚生年金保険」で現地社員を保護する必要があるのかという問題が出てくるからです。



たとえば、雇用保険であれば、基本手当(通称:失業手当)の受給を行う際には、失業の認定を受ける際に都度ハローワークに来所出来るのかどうか、日本の企業へ就職活動をする予定があるのか、そのような先を見据えて雇用保険の加入をして良いかの判断をハローワークで行う事になります。



よって、リモート社員が原則日本本社での勤務は無く、常に海外現地での勤務となった場合は、対象社員の勤務内容や雇用主の諸規則の整備・運営状況(海外現地社員の規程や日本本社への出向規程があるのかどうか)等総合的に判断され、各機関での「雇用保険」「健康保険・介護保険・厚生年金保険」の適用が決定されることに注意が必要です。




本日は『労務管理Q&A~海外完全リモート社員を雇用する事で注意すべき事とは?~➀』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



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