top of page
検索
  • 執筆者の写真田村陽太

【第130回】なぜ日本企業の国際化対応は進まないのか?(中編)



こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「なぜ日本企業の国際化対応は進まないのか?(中編)」についてお話します。



前回のニュースで、『なぜ日本企業は「他の国」の企業と比べて、自国以外の国(海外)の企業と付き合う頻度や経験値が少ないのか?』の答えとして、『日本人の海外経験の無さ』とお話しました。



そしてその理由の中身を紐解いていくと、海外経験がある社員や海外駐在員経験者が上層部や経営者層に行く機会が限られているからこそ、会社全体の「海外経験の重要性」の価値が相対的に低くなり、それが『日本人の海外経験の無さ』に繋がるというお話をさせていただきました。



今回は、このような状況の中で日本企業が取るべき国際化対応、特に海外駐在員経験者が上層部や経営層に行ける仕組み作りを行っていく為にはどうすれば良いかを中心に語っていきたいと思います。



海外駐在員経験者が上層部や経営層で活躍していく仕組みづくりをするために以下の3点が重要と私は考えております。



① 海外事業部の業務を多くの社員に経験させる機会を作る

② 海外駐在中の人事評価やスキルチェックをしっかりと行う

③ 海外駐在員の権限を会社の経営層と並ぶ地位まで高める



以上の3点が重要と個人的に考えております。



まず①ですが、前回のニュースでもお話ししましたが、日本企業での海外事業部や海外駐在員の業務がまだまだ「専門職」的なイメージが強いと個人的に思います。外国語が使えて、国際感覚がある一部の社員のみでジョブローテーションをさせて海外事業部の業務を担当させている会社が多いと感じております。



そうなると、一部の社員にとって海外ビジネスについての専門性や能力はつきますが、その他の業務を経験する機会が減り、「海外事業部上がりの社員」が経営層や上層部に行く可能性が低くなってしまいます。



それを無くしていく為に、キャリアアップ志向が強い社員やチャレンジ精神がある社員を中心に、外国語が得意な方以外にも、海外事業の経験を積ませることが非常に重要かと思います。



いきなり海外事業部の業務を任せるのは外国語能力の問題から難しいのであれば、語学研修を実施したり、TOEICテスト等を実施したり等、社員の外国語能力アップの施策を社内で行う事で、徐々に海外事業部の業務に慣れていく為の対策を行う事が重要です。



そうすると、会社全体での海外事業部の業務に関する理解や関心が高まり、社内の海外事業を行っていく重要性の意識も浸透していくと思います。また、社員の専門性・得意分野に関係なく色々な業務を経験する社員や機会が増え、より多くの社員が経営層で活躍する土壌づくりに貢献していくと個人的に思います。



②は、海外駐在員の業務内容や大変さについての社内理解がまだまだ乏しい状況を打破する良い施策だと考えております。これはまた、通常の社員だけでなく、社員の能力評価や労務管理対応を行う部署である「人事部」の海外駐在員に対する業務理解や適正な能力評価が出来ていない事も影響していると私個人的には考えております。



海外駐在員が行う業務としては、海外現地法人の経営に関する事や現地社員の採用、労務、税務、法務等のバックヤード的な業務、さらには営業活動を行う上での販売価格や販売方針等の意思決定を行う等の経営の中枢的な業務を担当します。



これら海外駐在員業務は、担当している国は違えども、日本企業での役職に当てはめると、おおよそ経営者や役員層、各部署の管理職層が対応している業務を任されていると言っても過言ではないでしょう。



「海外駐在員の業務」は海外事業部での業務を5~10年程度経験し、派遣されるパターンが多いので海外駐在中の人事評価も「海外事業部での業務の延長線上」の内容として駐在員のスキルを評価している会社が多いと個人的には感じております。



そうするのではなく、「海外事業部の社員」と「海外駐在員」の役割や業務の難易度が丸っきり別である事を、会社全体、そして人事部はしっかりと認識し、能力チェックや人事評価の仕組みも別テーブルで行っていく配慮が重要になると思います。



そうすることで海外駐在員の赴任期間を終え、いざ他の部署へ配置換えになった際にも、今後国内で対応すべきである業務のほとんどの素養や基盤を、駐在員経験者が既に獲得している状態である事を明確に人事部や各部署が判断でき、それが今後の配置転換時の各部署への調整業務等にも生かされます。そのような意味でも「海外駐在員」専門の人事評価制度の仕組みの構築を行う事は非常に重要です。



本日は「なぜ日本企業の国際化対応は進まないのか?(中編)」についてお話しました。次回は後編をお話しいたします。





執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。



社会保険労務士事務所Sun&Careerホームページはこちらです。




インターネットラジオ・ポッドキャスト番組「企業と従業員の働き方を考える 『社労士ラジオ  サニーデーフライデー』」のリンクはこちらです。




社労士労務顧問、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター、ポッドキャスト番組制作等のご依頼はお問い合わせフォームまでご連絡ください。



bottom of page