【第265回】『労務管理Q&A~外国人材の定着には何が本当に必要なのか?➃~』
- 田村陽太
- 3 時間前
- 読了時間: 4分

こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~外国人材の定着には何が本当に必要なのか?④~』についてお話しします。
前回までに、外国人材の定着に必要な3つの視点として、以下の点をお伝えしてきました。
自分が“歓迎されている”と実感できる情報発信や出会いの機会の提供
日本人社員と同じように公平に扱われていると感じられる職場環境
外国人材の「穴」が出ないよう、定期的に採用できる仕組みづくり
今回はその最終回として、これまでの内容を整理しながら「外国人材の定着に向けて会社が取り組むべきこと」についてまとめたいと思います。
入社・定着・退職――3つのタイミングで考える
外国人材の定着と聞くと、一見難しく感じるかもしれませんが、実際のところは日本人材を雇用する場合と大きくは変わりません。要素を分解すると、
入社時
職場への定着期
退職時
という3つのタイミングで、やるべきことを明確に意識することが大切です。
入社時:歓迎の気持ちを伝える
入社の瞬間は、どんな人でも緊張と期待が入り混じるものです。
読者の皆さんの中にも、新しい会社に入った際、「うまくやっていけるだろうか」と不安を抱きつつも、「ここで力を発揮してみよう!」とワクワクした経験がある方は多いのではないでしょうか。
そんな期待と不安を抱えて入社してきた外国人材に対し、「あなたを歓迎しています」という会社からの明確なメッセージを伝えることが、その後のモチベーションやパフォーマンスに大きな影響を与えます。
一度、従業員の心に火が灯れば、本人の中で「この会社で頑張ろう」という思いが自然と強くなっていくものです。
定着期:努力を認める姿勢を持つ
職場に慣れ、会社の中核を担っていく過程では、やはり「頑張りをきちんと評価されているかどうか」が重要なポイントになります。
外国人材も日本人材と同様、自分では努力しているつもりでも、その頑張りが伝わっているのか不安に感じることがあります。
だからこそ、上司や同僚などの第三者から「頑張っているね」と声をかけてもらえることは、非常に大きな励みになります。
また、外国人材の中には、自分の職務能力に誇りを持って働いている方が多い傾向があります。これは、日本の「職能型」雇用とは異なり、母国では「職務型」評価が一般的な背景があるためです。
そのような人たちに対して、日本語が不自由だから、ルールを完全に理解していないからといった理由で、いつまでも“後輩扱い”や“研修中”のような立場で接し続けてしまうと、彼らのやる気を損なう結果につながってしまいます。
退職時:次につながる仕組みづくりを
外国人材が退職する際には、温かく送り出しつつ、その人の後任となる新たな外国人材への引き継ぎ体制を整えておくことが非常に重要です。
というのも、外国人材の多くは「キャリアアップ」に非常に意欲的です。
ひとつの会社で長く勤めるよりも、さまざまな職場で経験を積み、自らのスキルを高めたいと考えている方も少なくありません。
企業としては、いつ辞めるかわからない不確実性を前提としながら、次に入社する人材がスムーズに業務を引き継げるような体制を、つまり、マニュアルの整備やナレッジ共有の仕組みを整えておく必要があります。
外国人材の定着は、特別なことではない
結論として、外国人材をうまく雇用できる企業は、日本人材の雇用にも成功している企業だといえるでしょう。
つまり、「入社時」「定着期」「退職時」という3つのフェーズごとに、それぞれ適切な対応ができていれば、外国人材であっても定着しやすい環境は自然と整っていきます。
そして、その対応は経営層・人事部・現場の上司といった関係者が一体となって行動できる体制があってこそ実現します。
外国人材の定着や雇用、または労務管理全般についてお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちサンキャリアが、貴社の外国人雇用のパートナーとしてお力になれれば幸いです。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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