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  • 執筆者の写真田村陽太

【第91回】海外の健康保険制度について


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は日本企業で海外駐在員として派遣され勤務する方や、日本を飛び出して海外勤務となった方が、気になる事項の一つである「海外の健康保険制度について」をお話したいと思います。



前回のニュースでもお伝えしましたが、社会保障協定を締結していない国で勤務をした場合や、社会保障協定国での勤務だが5年を超えて勤務する事となった場合には、現地赴任国での健康保険制度に加入する必要が出てきます。



海外勤務となった場合には、どこまでの医療範囲が公的な健康保険の対象となるのか、また日本の健康保険制度と比較してどの程度給付内容が違うかをお伝えしていきたいと思います。



まず、日本の健康保険制度についてお話したいと思います。日本の健康保険制度は「国民皆保険制度」であり、赤ちゃんの0歳から100歳の方でも同じように健康保険に加入し、保険料を納める必要があります。



自営業・フリーランスの方が加入する国民健康保険に関してはお住まいの市町村で保険料率が異なり、主に前年の所得に応じて毎月の保険料が異なります(所得割)。そして、世帯の構成員の数により、保険料が逓減・逓増する仕組み(均等割)となっております。



会社勤めの方や会社の役員の方は、協会けんぽの健康保険や会社独自で行っている健康保険組合に加入するパターンが多いです。国民健康保険では、前年の所得から保険料が割り出されていますが、協会けんぽ管轄の健康保険では、毎月のお給料の総支給額を基に計算しております。



また国民健康保険制度には無かった「扶養」制度があり、加入員の収入が一定の額以下であれば、配偶者ですと健康保険料と国民年金の支払いが免除、それ以外の方であれば健康保険料が免除となります。また、国民健康保険にはない「出産手当金」「傷病手当金」が利用できる所がメリットです。



そして国民健康保険、協会けんぽの健康保険、どちらも通院等での窓口負担額が70歳未満は3割負担、70歳以上74歳未満は2割負担となります。一定の通院費がかかった場合に関しては、高額療養費制度と呼ばれる支払った医療費が還付される制度もあります。



また75歳以上からは後期高齢者医療保険となり、自己負担額は1割負担(一定の収入があれば3割負担)となります。利用できる保険制度も国民健康保険の時とほぼ変わらない内容となっています。



それでは本題である、海外の健康保険制度についてお話していきたいと思いますが、これは世界各国を比較してもシステムが大きく違います。特にシステムが違うと思われ3点として、


➀保険の加入義務の有無

②窓口自己負担額の仕組み

③サービス内容の違い


が挙げられます。



まず①に関して、日本のように国民皆保険である国はそう多くはありません。アメリカでは、公的保険は高齢者と低所得者のみに適用されており、例えば中年男性や出産した女性が通院する際の治療に適用できる健康保険は存在しないという事になります。



保険料を支払わずに無保険である事も許されますし、その代替案として中には日本国内の民間保険や現地の企業で運営している民間保険に加入する方もいます。



②については、日本ではどんな治療を受けても健康保険適用範囲内の内容でしたら、どんな治療でも3割負担ですが、他の海外の国では原則無料としている国々も多いです。ただ、事前にかかりつけ医を通さずに診療を受けてしまった場合は自己負担額が大きく値上がる事もありますので注意が必要です。



③は、海外の国の中には、健康保険が適用できる病院は公立のみで、私立は利用できない等のルールがあります。そして公立病院の数が少なく、予約をしようとしてもなかなか日程の確保が出来なかったり、往診の順番待ちを余儀なくされたり等もありますので注意が必要です。



今回は、「海外の健康保険制度」についてお話させて頂きました。海外の医療保険は国によって大きく制度が異なります。海外に行く自身が万が一どれくらいの給付内容の保険制度に加入する必要があるのかをまず理解し、そして駐在国の健康保険制度の仕組みを理解する事で、駐在中の病気やケガの治療が必要な際に、どこまで自身が保険によってカバーされるか、そして自己負担となる部分はどれくらいなのかを分別できるようにしておくことが重要です。



また今回のお話させて頂いた中で何か不明点あればいつでも弊所にお問い合わせくださいますようお願いいたします。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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