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  • 執筆者の写真田村陽太

【第99回】海外スタートアップ企業と協働する上で注意すべき事


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は海外出身のスタートアップ企業と日本企業が協働する上で注意すべき事についてお話していきたいと思います。



コロナ禍という海外渡航するには厳しい環境下ではありますが、海外のスタートアップ企業が今後の会社の事業拡大を行っていく上で、日本へ進出して事業を始めていきたいという企業も増えてきております。



といいますのも、先日東京都を中心に事業運営をされているX-HUB TOKYO様の、海外スタートアップと都内企業・スタートアップ等の交流をサポートするプログラム 「INBOUND」事業の人事・HRのセミナーを担当した事から強く感じております。



https://x-hub.tokyo/inbound_program-2



様々な先進的な技術を保有する海外企業が日本市場をどのように攻略していくか、そして日本市場で従業員を雇用していく為にはどのような労働法や実務的な知識について悩みがあるかを知る良い機会となり、またこのようなコロナ禍という環境下でも日本市場で真剣に頑張っていきたいという海外スタートアップ企業の熱意を感じる事ができました。



ただ、このような海外企業が日本で活動するのに一番のネックとなるのがビザの問題です。

そもそも外国人は、日本への入国に関して、日本の会社で従業員として雇用されるビザではなく、経営者ビザ(経営・管理ビザ)を取得して来日する場合は、非常にハードルが高いものとなっております。



その理由としては、常勤の従業員を2名以上雇用しなければならないというルールがあるためです。その為、ある程度の日本市場での事業拡大の見込みがあり、人件費を払える程の売上確保の予測が立つ企業でないと、原則として海外スタートアップ企業がいきなり日本に来て事業を行う事はこの理由がある事から難しくなります。



現在東京都は国家戦略特区として認定されていて、この経営・管理ビザを取得するために、東京都の事前の面談や創業活動確認証明書の受領等の要件を満たせば、海外スタートアップ企業が入国して日本で活動するための在留資格を6か月間取得する事が出来ます。



そうする事で、入国後6か月の間で営業活動を行いながら、従業員を2名以上雇用する為の準備をする事が出来るメリットがあります。



東京都ではこのような制度が現在あるため、本ニュースを読んで下さる企業関係者の方も現在海外スタートアップ企業と一緒に事業を行っている、もしくは今後一緒に事業をやっていきたいという方もいらっしゃるかと思います。



本日は上記の背景で来日される海外スタートアップ企業と一緒に事業を行う際に注意しておくべきポイントを人事労務的な視点でお話が出来れば幸いです。



➀派遣と請負の線引きを理解してもらう事

海外スタートアップ企業と日本企業が製品開発や実務的な業務を行う上で、一緒のオフィスで勤務する事があるかと思います。例えばその際に、顧客である日本企業が海外スタートアップ企業の従業員を指揮命令する事は、派遣業の許可を取得していなければ難しいこととなります。



スタートアップ企業が派遣業の許可を取得するには資本金や現預金等の理由から非常に難しいので、第三者から派遣と勘違いされるような働かせ方はせず、請負での業務を徹底するようにすることが重要です。



➁各種日本独自の業法のルールを理解してもらう事

例えば、日本には高度かつ専門的業務を行う資格職業の「士業」が存在し、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士、海事代理士と呼ばれる8士業には、各士業ごとに業法が存在しております。



例えば、海外スタートアップ企業が日本のルールについての理解が乏しい分、仕事の一環で日本企業が海外スタートアップ企業に対して具体的な税務アドバイスをしてしまうと、税理士法違反になります。また、海外スタートアップ企業の社会保険手続きや賃金台帳、雇用契約書の作成を、日本企業が仕事の一環で請け負ってしまうと社会保険労務士法違反となる事があります。



その為海外スタートアップ企業とお仕事をする際に重要な事は、たとえ海外の国では法律が整備されていなくても、日本には独自の業法ルールが存在する事をお伝えし、海外スタートアップ企業から業務の代行や依頼を受けた際にも必ず法的に問題ないかを確認し、それを対応するか、対応出来ないか等のスタートアップ企業とのやり取りや回答を、必ずメールや文章等の文書に残す事が重要です。



本日は海外スタートアップ企業と日本企業が協働する上で注意すべき事についてお話させて頂きました。今後多くの海外スタートアップ企業が来日して、海外企業と一緒に事業をする事が増えてくるかと思いますが、日本企業と業務をするのと比較して注意しなければならない事は沢山あります。



分からない事をそのままにしたり、問題ないだろうと高を括ったりする前に、海外スタートアップ企業とのやり取りで不安に思ったことは、必ず調べて対応する習慣を身に着ける事が重要かと思います。



弊所でも海外スタートアップ企業との事業提携や販路展開等の相談を受け付けておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



社会保険労務士事務所Sun&Careerホームページはこちらです。


https://www.srcc-suncareer.com/



インターネットラジオ・ポッドキャスト番組「企業と従業員の働き方を考える 『社労士ラジオ  サニーデーフライデー』」のリンクはこちらです。


https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1507714225



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